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綿貫碧(わたぬき あおい)2-18
学校は寮生が帰省出来るように、5月1日も休みであり、今年のGWは7連休である。この間に稼げないかと思ったのだが、普通のバイトでは敷居が高い。ここから通うのはまず無理であるし、都会に出れば宿泊をしなければいけない。漫画喫茶も高校生であれば泊まれないだろう。仕方なく綿貫は、施設にいた知り合いに連絡をしたのだ。
彼等は、友人ではない。綿貫の初めての相手であり、強姦をした張本人達だ。その後も、何度も寝た。高月が浴室で言っていたとおり、愛情が無くとも、体を繋げば不思議な縁は出来る物だ。彼等、特にボスの男は綿貫を彼なりに可愛がっていたようで、よく物もくれた。もっとも綿貫には、最後まで彼等に情を持つことなど出来なかった。
そんな彼等は、高校生になると良くバイトをしていた。休日になると日払いのバイトも行っていたようで、宿泊許可を得て泊まりで行くこともあった。いい加減な施設であったので、許可が出たのであろう。
綿貫はそれを思い出して、寮の電話から施設に電話をして彼等に連絡をとった。働きたいと言ったら、仕事を紹介してくれるという。泊まりで行う仕事で、宿泊代を引くと一日8千円。高校生が稼ぐには大金であるが、どんな仕事かは知らされていない。体力があれば出来るというので、土方関係だろうか。
「よくわかんないって、それ、大丈夫なの?」
「まぁ、多分大丈夫です。知り合いの紹介なので」
「その知り合いは、信頼出来るの?」
「はい」
綿貫は平然と嘘をついた。信頼出来るかと言えば出来ないであろう。しかし、最低でも綿貫に対して他人に手出しをさせる人間では無かった。自分のおもちゃを人にいじられるのが嫌いなタイプだ。そう考えれば、売春だとか、そう言った仕事では無いであろう。
「どこで仕事するの?」
「さぁ」
「それも分からないの? あおちゃん、大丈夫?」
「取りあえず東京に帰ります」
三沢は綿貫から離れると、ベッドから下りて、綿貫の前で膝立ちをしてじっと綿貫の顔を見てきた。
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