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綿貫碧(わたぬき あおい)3-20

 顎が疲れてきた頃、ようやく三沢のペニスが大きく膨らみ、射精しそうなのが分かった。強く吸い込むと、三沢は綿貫の口からペニスを引き抜き、己の手で(しご)きながら、綿貫の顔に白濁をかけてきた。 「あ……」  綿貫はトロンとした表情でそれを受け止める。雄の匂いに、目眩が起きそうであった。 「あおちゃんも、我慢出来なそうだね。俺がして上げようか」  三沢が綿貫のズボンのホックを外そうとするのに、綿貫は我に返った。 「いいです。俺、帰ります」  綿貫は落ちている1万円札を一枚だけ掴むと、手で顔についた精液を拭い、立ち上がった。 「髪にもついてるよ。イカ臭い匂いさせて、精液体に付けて電車乗るの? 第一、もう終電ないよ。帰るなら、明日の朝にすれば」  三沢は散らばった1万円札を集めると、それを綿貫に渡してきた。 「はい、これ、働いた分のお金。もう、何もしないし、させないから大丈夫」  綿貫は、確かにこんな格好では電車に乗れないし、終電がなければ野宿をしなければいけないのだと思って、頷いた。 「スイマセン。お言葉に甘えます。今日まで泊めてください。それと、洗面所、貸してください」 「いいよ、シャワー浴びなよ」 「ありがとうございます」  何であんな事があったのに、この人は平然としているのだろうと三沢の顔を見た後、綿貫は頭を下げた。 「それと、こんなにお金、いりません。一万円あれば十分です」 「あおちゃん、安売りしすぎ」 「適正価格です。俺にはそんな価値はないですから」  それだけ言うと、綿貫はシャワーを浴びに行った。  何かある度に、これ以上惨めにはならないだろうと思っていたが、今日は今まで以上に惨めであった。  選択を間違えた。自分などが嫉妬などしたから罰が当たったのだ。綿貫はそう思いながら、熱いシャワーを頭からかける。  雄の高ぶりは収まらなかった。仕方が無く、高ぶった己を激しく扱《しご》きながら、酷く惨めだと、綿貫は再度そう思った。     

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