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三沢修司(みさわ しゅうじ)2-1

 三沢は目の前にいる太った男を、苛ただしい思いで見つめた。 「誰が、しゃぶらせろって言ったの」  静まりかえった放課後の生徒会室には、三沢と小湊と、男が一人いるだけだ。  生徒会室は生徒会長と副会長と書記の机が置かれ、その他、三人ほど座れるソファが壁にそって置かれており、大きな机が真ん中にある。そこそこ広くて、設備も充実しているため、三沢は放課後、大抵生徒会室か明慶会の部屋にいる。  今日は人払いをして、男を呼び出した。何故か小湊もいる。小湊ならいてもいいかと思いながら、床に正座をしている男の顔を、中央のテーブルに座り見下ろした。 「何勝手しちゃってんの。ねぇ、それ、誰か頼んだ?」  男は下を向いて沈黙をしている。三沢は苛ついて椅子を思いっきり蹴りつけた。がしゃんと大きな音が響き、男は体をびくつかせる。三沢はその様子に更に苛立ち、男の頭に足を乗せた。 「黙ってんじゃねぇよ。口がねぇのか、テメェは」 「ご、ごめんなさい。誰も頼んでいません」 「お前、自分の姿、鏡で見たことあるのかよ。俺がお前を選んだのはさ、醜いからなんですけど。お前みたいな薄汚い豚がさ、あおちゃんにさせて貰えるって、一生分の運使い果たしたくらいに幸運だろ。それなのに、何調子乗っちゃってんの、このゴミ屑は」 「は、はい」 「体だけじゃなくて、性根も腐ってるキモオタだもんな、お前。意気地が無くて、弱い奴にデカい顔して、強い奴に媚びへつらって……そんな奴のチンコをさ、可愛いあおちゃんが咥えたって、俺、どうすれば良いの」 「ごめんなさい。ごめんなさい」  三沢は机から下りると、もう一度椅子を蹴り上げた。苛々が収まらない。こんな事は初めてであった。 「もういいよ。これ以上お前の顔見たら、俺、お前の事、殺しちゃいそう。でも、暴力は嫌いなんだよね。だから、さっさと出ていって」 「は、はい」  男は明らかにほっとした様子で部屋から出て行った。それに、もう一度三沢は椅子を蹴りつける。 「ちょっと、備品壊さないでよ。どうせ、もう二度とあいつの顔見ることないだろ」  ソファに座った小湊が、呑気な声を上げた。小湊の言うとおりだ。あの豚の家で経営しているスーパーに出資をしていたが、それも打ち切りだ。      

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