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綿貫碧(わたぬき あおい)4-5
綿貫がそのドアを開けると、後ろから伸びてきた手が電気を点けた。部屋の中には薄暗い明かりが灯され、部屋の光景が浮かび上がる。それを見て綿貫は、その場に凍り付いた。壁や天井にぶら下がる拘束具。妖しい椅子は体を固定できるようになっており、大きなベットが置かれていた。
何だ、この部屋はと思って、三沢の顔を見る。
「ちょ、三沢さん悪趣味。こういうの、好きなんですか」
笑って冗談で済まそうと思ったが、三沢はニコリともしなかった。
「さっさと入って」
三沢に強く背中を押されて、綿貫はその部屋に入った。後ろで聞こえるドアの閉まる音が、やけに響いていた。
「三沢さん、今日、何かおかしい。凄い乱暴です」
いつもの三沢に戻って欲しいと思って言うと、何故か三沢が声を上げて笑った。
「これも俺だよ。前に言ったじゃん。俺、施設で育ったから、元来、乱暴者なんだよね」
「で、でも……」
「飴でも駄目。鞭でも駄目。あとは、何が残ってるのかなぁ」
たまに訳の分からないことを言うのが三沢であったが、今日は飛びきりおかしい。
「もうさ、そしたら俺自身しか残ってないよね。晒しちゃうしかないよね」
三沢に後ろ襟を掴まれると、そのままベッドに連れて行かれて、そこに倒された。
「大丈夫。今日はノーマルで行こうね」
三沢がネクタイを外して、それを放り投げた。
「脱いで」
綿貫がその言葉に首を振る。
「嫌です」
「脱げよ」
「嫌だ。絶対に嫌だ!」
三沢が表情をすっと無くすと、あぁ、と呟いた。
「本当に、一筋縄ではいかないねぇ」
三沢はそう言うと、綿貫の股間に手を伸ばして来た。
「あれ、何、少し勃ってるよ」
綿貫はそれに、顔をそらした。確かに自分は興奮をしている。三沢の仕草一つ一つに興奮し、出来ることなら三沢に抱かれたいと思っている。しかし、それをわずかに残る理性が留めていた。
「あの時の続き、しよっか」
低く、甘い声で囁かれ、体にゾクリとした震えが走る。あの時、三沢のペニスを咥えただけで、あんなに気持ちが良かったのだ。三沢に触られれば、想像もつかない悦楽の世界が待っているだろう。しかし、それを想像しながらも、首を振った。
「駄目です。怖い……」
「あぁ、可愛いなぁ。大丈夫。気持ち良くなれるから」
三沢の手が、ズボンの上から綿貫の屹立を愛撫し始めた。甘い痺れが全身に広がっていく。
「や、だめ、止めてください」
三沢の手首を掴むが、力が上手く入らない。それに三沢が笑った。
「口ばっかりだね」
そう言って、指先でそろりと形に添って撫でられる。柔らかい刺激に物足りなさを感じると、今度は強く擦られ、カリの下側を親指で擦られた。
「ン……ふっ」
その動きは、綿貫以上に綿貫の快楽を知っているかのようで、綿貫は目眩がしそうであった。
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