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綿貫碧(わたぬき あおい)4-14
変わっているのは俺じゃない。三沢さんだ。多分そうなはずだ。そう思いながら、さっさと服を脱いで風呂に入った。
「後ろ、洗って上げるから、壁に手、ついて」
「それはさすがに……」
「これもセックスのうちの一つでしょ。俺の楽しみ、とらないで」
「そう言うことじゃないですよ。嫌で……」
断ろうと思ったが、じっとこちらを見ている三沢の目が可愛く見えて、結局綿貫は頷いた。
「明日学校だから、これ以上はしない方が良いよね。気持ち良くならないように気をつけるからね」
そう言いながら後孔に指を入れて、自分の精液を掻き出す三沢の指に、やはり気持ち良くなってしまう。ぐっと手を握って壁に寄りかかりながら、早く終われと思った。
「ごめんね。やっぱり気持ち良くなっちゃったね」
「次はゴムつけてください!」
言った後に、次など無いのかも知れないと思って言ったことを後悔したが、三沢は気にしていないのか、口を尖らせただけだった。
風呂は大きいわけではなく、一般的な家庭風呂の大きさくらいだ。バスタブに入ると、男二人ではさすがに狭い。三沢の上に重なるように、綿貫は風呂に入った。
「あおちゃんはさ、中出しされたこと、ないの?」
「ありますよ。施設の子はゴム買う金なんてないから、いっつも生です。さすがに大人は、証拠が残ったら困るだろうからかゴムつけてましたけどね」
「ふーん」
三沢はそれ以上は話を続けることなく、綿貫の腕を二の腕からすっとなぞった。
「色白いよね。キメも細かいし、凄く綺麗」
「運動嫌いですからね」
「毛も少ないね」
「まだ子どもだからです。そのうち生えてくるし、肌だって粗くなりますよ」
「それもいいね」
「え?」
「あおちゃんなら、なんでも良いよ」
綿貫は、またいい加減なことを言うと思いながらも、嬉しいと思った。嘘でも、そう言って貰えて嬉しい。
「三沢さんは何か運動してるんですか? 部活入ってる?」
「部活なんて入ってないよ。あんなマゾいの、やる意味がわからない」
「でも、綺麗に筋肉ついてますよね」
「筋トレして鍛えてるよ。あおちゃんに嫌われたくないくないから、スタイルには気を遣ってる」
それに綿貫は笑った。
「ほんと、いい加減。俺と出会ったのは二ヶ月前でしょ」
「そうだね」
ゆっくりと風呂に浸かった後、用意されていた部屋着を着た。何故か綿貫の体に丁度良かったが、泊まりに来た女のために用意した物なのだろう。新品であったが、少し嫌な気持ちになった。
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