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綿貫碧(わたぬき あおい)6-13

 ベッドの上では三沢とフユが裸になって絡み合い始めた。三沢はコンドームを装着すると、フユにフェラチオをさせ始める。ぺちゃぺちゃと響く音に、フユの技巧を伺うことが出来た。 「あぁ、やっぱり上手いね。さすがプロだ。すぐイッちゃいそう」  三沢はそう言うと、綿貫の顔を見てきた。 「あおちゃんもして貰う? 凄く気持ち良いよ」  ふざけるな。そう言いたかったが、ただ首を振る事しか出来ない。惨めな気持ちに心が重くなり、足が地面に沈むような感覚を覚えた。  三沢はフユの口から自身を抜くと、フユの体に愛撫をはじめ、フユは小さな嬌声を上げていく。わざとらしい嬌声はなく、本当に気持ち良いと言ったような声だ。それが演技かはわからないが、その艶姿は男の欲をかき立てるのに十分過ぎた。 「入れるね」  フユを四つん這いにさせた三沢がそう言うと、綿貫の顔を再度見てきた。綿貫は自分の顔がどんななのか考えたくもなかった。しかし、口の端を上げて嬉しそうに笑った三沢の顔に、想像は付いた。傷つき、歪んだ顔をしているのだろう。それに三沢は悦んでいる。  綿貫は堪らず寝室から出て行った。そういえば、以前もこんな事があった。三沢のマンションに初めて訪れた時、三沢は綿貫がいるのも構わず女を呼んだのだ。  しかしあの時は、まだ自分は三沢のパピーでもなく、肉体を交わしてもいなかった。その分、今の方が惨めだ。   帰ろうかと思ったが、帰り方もわからないし金もない。あの時と全く変わっていないと思いながら、ソファの上で横になってただ終わるのを待った。  あの時の女と違って、フユはわざとらしい嬌声を上げる事はなかった。たまに聞こえる喘ぎ声は切なく、艶めいている。それが余計に綿貫を傷つけ、綿貫は目を瞑って耐えた。 「終わったよ」  どれくらい経ったのかわからないが、ようやく三沢がそう言って綿貫の肩を叩いた。 「おいで」  そう言って三沢は綿貫の体を抱きしめると寝室に連れて行き、先ほど三沢とフユがセックスをしたのとは別のベッドに綿貫の体を置いた。  三沢がキスをしようとしてくる。堪らず綿貫は肘で三沢の顎をはらった。 「痛いなぁ。酷いよ」 「酷いのはアンタだ! 何考えたんだ。こんな、何考えて!」 「え? 何考えてるって、あおちゃんとセックスしたいなって」 「俺はしたくない!」 「そっか」  三沢はそう言って体を離すと、ベッドサイドに座って綿貫の頭を撫でてきた。 「三沢さん、あんた、おかしい。頭、おかしいよ」 「みんな、そう言うよね。何でだろ」  こんな時に呑気な言葉を吐く三沢に、綿貫の頭は返って冷静になっていく。 「そうじゃなければ、凄いサディストだ。俺が傷つくのを見るのが楽しい? それとも、誰と寝ても許るせるのが愛? 三沢さんのために、忠実なペットになればいい?」          

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