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綿貫碧(わたぬき あおい)8-11
甲野は怒りの声も真っ直ぐだ。その声に、綿貫は何故かうっとりとした。自分にはない強さに、やはり憧れる。
「怒らないで。俺も正直これは無いと思う。でも、悪いことをしたら罰が必要だ。そうしないと、秩序は保てない」
「何が秩序だ! ほどけ! ほどけよ!」
「騒ぐなってさっきも言っただろ。今の主役はちーくんじゃなくて、あの子。ちーくんの出番はこの後だから、ね」
小湊の声が低く響いたが、すぐに柔らかな声に戻った。この人は、三沢と似ている。冷静を装いながら、怒りを隠せてない。甲野はどうなってしまうのか考えるのが辛いのと同時に、甲野が陵辱されるのを、どこかで待ち望む自分もいた。
甲野がどうやって喘ぐのか、どうやって男に感じるのか、知ってみたいと思った。自分と同じように、男を求めてイキ狂うのか。こんなに強い甲野も、自分と同じようなただの肉になるのか。見てみたい、そう思った。
「あれ、刺激になれちゃった? 何か冷静だね。それとも、あの子が気になる?」
三沢の声が聞こえた。慌てて綿貫は首を振る。それと同時に、現実に引き戻されてしまい、再度襲ってくる快楽に、小さな呻き声を漏らした。
小湊と甲野は何かを話していたが、ドアが開く音がして、会話はやんだ。
「千秋? 大丈夫か」
聞いた事のない声だ。甲野の友人なのだろうか。
小湊が何か言っている。甲野の友人に、そして甲野に怒っているようだ。会話から察するに、恐らく、この友人が甲野をパピーにしようとしたのだろう。小湊の怒りはそれが原因か。自分に負けず、甲野も馬鹿な男だと思った。
「妬けちゃうよ。そんなに甲野君が気になる?」
三沢がからかうように言ってくるが、恐らくその目にはあの仄暗い炎が灯っているはずだ。綿貫は懸命に首を振った。
「イキたいの?」
三沢の手が綿貫の耳にそっと触れた。体が切なく震え、三沢の手をただ求めていた。
「もう、俺から逃げないよね? もうしないって誓って。それに、甲野君も、他の誰も見ないって、誓って。あおちゃんが俺を満たしてくれれば、あおちゃんに嫉妬も苦しみも与えないって約束する」
綿貫が頷くと、三沢は嬉しそうに笑い、目隠しとボールギャグを取り外した。
「ごめんなさい、ごめんなさい。もうしません!」
綿貫は泣くような声で誓った。それは、心からの謝罪であり、誓いであった。
体内では、まだローターが動いている。肥大した前立腺を、ブジーとローターが挟み込んで綿貫を責め続けるのをやめない。ペニスは膨らみ、破裂しそうだが、ブジーに栓をされているため、まともに射精出来なかった。
「三沢さん、イカせて。お願いです。イカせてください」
「だーめ。それじゃあご褒美になっちゃうよー」
三沢はそう言って、綿貫のこめかみをベロリと舐めてきた。
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