125 / 133
綿貫碧(わたぬき あおい)8-15
***
目を覚ますと、目の前に三沢の顔があった。それに驚くのと同時に、下半身に妙な感触がして、綿貫は顔をしかめた。
部屋はいつの間にか移動したらしい。寝室には三沢と二人しかおらず、終わったのだと安堵する。
「何してんですか、三沢さん」
「え? 素股」
「え、じゃないですよ。当然みたいに言わないでください。人が気絶してる間にレイプですか」
「入れてないよ」
綿貫はため息をつくと、三沢の肩を掴んで押したが、三沢の体はビクともしなかった。
「どいてください」
「えー、やだよ。ずっと我慢してたんだよ。でも、さすがにアナル酷使しすぎだと思って、素股で我慢してるの。あとちょっとでイケるから、もう少し足貸して」
そう言って、三沢が腰を前後に揺すった。体中が痛くて上手く力が入らなかったが、三沢が早くイケるようにと内股に力を入れた。
「あ、気持ちいい」
三沢がうっとりとした顔で目を瞑った。可愛いなと思って、三沢の首に手を回してぎゅっとしがみついた。
三沢のペニスが綿貫の睾丸やペニスを擦っていく。その感触が気持ち良い。もう勃起はしなかったが、性的な快楽を感じられない分、なんとも言えないふわふわとした気持ちよさだ。
しばらくすると、三沢が射精をした。どろりと綿貫の腹が濡れる。三沢がぎゅっと抱きしめてくるのに、綿貫は三沢の背中をぽんぽんと叩いた。
しばらくそうしていた。三沢の体が重いが、文句は言わなかった。体温がじんわりと綿貫を包み込んでいた。
「ねえ、留学先に俺を連れて行ってくれるって言ったよね。それ、本当?」
「うん。本当だよ。もうずっと一緒だ。どこでも連れていくから」
それに綿貫は笑った。
「俺の事、信じてくれる気になった? 俺は、三沢さんを信じると決めたよ」
三沢が体を離して、綿貫の隣に横になった。
「どうだろうね。分からないな。俺は疑り深いから。でも、あおちゃんが俺を満たしてくれるなら、もう変な事はしないよ」
「また、どうとでも出来ること言う。ほんと、ゲス」
「酷いなぁ」
綿貫は耳に付いているピアスを触った。
「パピーにならなければ良かったと思ったけど、でも今は、なって良かったと思う。例え三沢さんが心変わりをしようともさ、パピーである間は離れられないですから」
「ハハ……やっぱりあおちゃんは、あおちゃんだ。全然信じてない」
「そうですかね。でもこれ、三沢さんのせいじゃないですよね。俺の性格だと思って諦めてください」
綿貫が三沢の方を向くと、三沢は綿貫の体に絡みつくように抱きしめてきた。
ともだちにシェアしよう!