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第3話
「俺は 満留 焔。君は?」
「僕は三葉 颯。先に言っておきますが男ですから」
「男!?」
「ふんっ!残念でしたね。女ではなくて」
「ごめ…」
「いいえ。構いません。慣れていますから」
「髪長いし可愛いから間違えちゃった」
「髪は母方のご先祖様からの言い伝えで成人するまで伸ばすようにと決められているんです。母の故郷は異国なのですがかなり小国で地図にも載らない場所。その土地ではそれが当然だということです。僕はこちらの血が入っていますので切っても良いのでしょうが父もこの髪を気に入っているので母方の伝統に合わせるようです。こちらでは僕の存在は浮いてしまうでしょう。しかしこれを変える気はないのです」
「そっか!いいと思う!!綺麗だから切っちゃうの勿体無いもん!羨ましい!俺は髪堅いからさらさらににならないんだぁ。すっごく綺麗!!いいないいな」
「っ!!」
「ん?どうしたの?」
思ったことをそのまま伝えたら颯は俯き頬を染めた。そして小さく呟いた
「ありがとうございます…」
そのとき何かが弾けた。
「…僕は…これまでずっと変だって…言われてきたんです…嬉しいです!ありがとう」
そのとき見せた颯の笑顔にすっかり射ぬかれた。そこからずっと片思い。
颯は誰にも懐かないで俺にずっと付いてきてくれてた。だからもしかすると颯も俺のこと少しは特別に想ってくれているんじゃないかと…そう思っていたのだけれど…それは大きな勘違いだったと、この数年後気付かされることになった
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