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第4話

颯と俺は幼稚園の頃からずっと隣にいた 颯は綺麗だ。それ故色々なところで常にターゲットとされていた。 小学生の頃は同じ生徒から誂われ、年を重ねるごとにエスカレートしていき高学年の時は陰湿ないじめにもあった。 教師や回りの大人からは性的対象として常に見られていて変な輩に連れ去られそうになったことも一度や二度じゃない。 クラスが違えば常に側にいられる訳じゃない。だけど登下校や休み時間など時間の許す限り颯と一緒にいた 俺の家は古くから続く道場だ。物心ついた頃には既にその辺の子供なんて比じゃないくらいの力はあった。だから連れ去られそうになったときは俺みたいな子供の力でも撃退できた。だから難を逃れてきたのだが… 「あっ…んん…気持ちいい…好きっ…好きっ…先生…」 中学に上がって直ぐのある日…理科準備室で本当に気持ち良さそうに腰を振る妖艶な颯を見た。初めて見たその姿。俺を打ちのめすのには十分すぎる出来事だった。 相手は教師。かなり人気のある奴で仕事もしっかりやるし授業も分かりやすくて信頼も厚かった。俺とは全く違うタイプの優男… 女ならまだ諦めもついた…だが相手は男…颯の趣向を初めて知りそして同時に俺はあいつのそういう対象に少しもなれていなかったのだとわかりどうしていいのかわからない…取り敢えず教室で待つことにした。 颯からそいつと付き合い始めたという報告もなかったしこれまでと変わらず俺の側にいたからまさかそういうことになっているなんて思いもしなかった… 「待たせてすいません。」 「いや」 何事もなかったかのようにいつもと変わらない表情でそう告げる颯の姿。きっとあいつを守りたいのだろう。教師が中学生の男に手を出したとなるとおそらくあいつは地に落ちるだろうから。 だから颯が話してくれるまで何も知らないことに… とはいえやはり好きな相手は別の人を想っているというこの有りがちなこのシチュエーションは結構キツイ…

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