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第7話
「ねぇ。満留くん」
「はい」
「三葉君と仲良いよね?」
「幼馴染みですから」
「俺らのこと…何か聞いてる?」
「えぇ。あいつが…普段仏頂面のあいつが嬉しそうに話していました。大丈夫ですよ。誰にも話すつもりはありません」
「ありがとう。俺ね…これが…この関係が世間から認められるものじゃないことだって…わかってる…でも…好きなんだ…どうしようもなく…」
「はい。」
「だから心配なんだ。君と三葉君とても仲がいいから」
「そんなに颯の気持ち信じられませんか?」
「そういうことじゃないよ。彼はとても綺麗で聡明で若い。俺にはとても勿体無い…でもどうしても彼のこと…だからこそ…彼の未来を想うと迷いが出てしまうんだ」
「好きだけじゃだめなんすか?お互い想い合って一緒にいれるんだからそれが一番じゃないっすか?俺はいいと思うけど?あんたの立場とか考えたら?そんなの知らない。颯は俺の大切な幼馴染みです。あいつが嬉しそうに幸せそうにしてるなら立場なんてどうでもいい。相手が何だっていい。ただあんたが颯を想い続けてくれるだけでいい」
「…そうだね…そうだよね…うん…大切にする…俺が…初めて本気になった相手だから」
「っ!?」
「驚いた?」
「だってあんたその年でその面構えでその性格でこれまで恋人がいなかったことなんてあるわけないでしょ?」
「…そうだね…そう…恋人はいたよ。でもね…好きになることはなかった…好きだと言われたから付き合ったし…そうしたら向こうが俺に愛想がつきて離れていった。でも苦しいって思ったり悲しいって思ったり…そんなことはなかった…必死で繋ぎ止めたいって思ったこともなかったんだ…だから…俺から本気になって俺から好きだって伝えて想いが通じたのは三葉君が…颯が初めて…離したくない…離れたくないって…そう思うのも」
「…だったらこれからも颯をよろしくお願いします」
「…ありがとう」
あいつの目に濁りはなくきっとそれが真実だって…そう信じて…だから…俺は見守ろうって…二人を誰からも守るって…そう思っていたんだ…それなのに…
無意識に足が早くなる…あいつの家に着いた頃には全力疾走していた
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