11 / 124
第11話
「っ…何?」
突然の事に驚く。緩く立ち上がろうとしてる己を落ち着かせるため深く息を吐いた
「いつも思うけど焔はとても綺麗な体をしていますよね。まだ中学生というのにこの胸板とか…この腹筋とか…」
すすすっと長い指を滑らせながら颯が囁く
「お前っ…何…すんだよ…」
「え?あぁ。この筋肉のついた男らしい体がとても羨ましいです。僕はなかなか筋肉つかないから」
荒くなりそうな息を整える。
「もう少し触っても?」
俺より少し低い身長のせいで至近距離で見られると自然に上目遣いになる。そんな顔
でお願いされたら…
「別に構わねぇけど…」
断れるわけない…
表情には出てないけど多分これは少しほっとしてる顔。俺の了承を得た颯は今度は掌全体で体を撫でていく。少し擽ったい…
「いいなぁ…これ…」
「触り方がヤラシイ」
恥ずかしくてついからかう口調になってしまうが次の言葉で一瞬時が止まった気がした
「そうですか?その気になっちゃいました?僕の体使いますか?」
「…は?お前何いってんの?」
高まる鼓動を落ち着かせるため言葉を紡ぐ
「…寂しい…」
「…」
これはチャンスだ…本当にこいつを抱くチャンス…でも…
「なぁにいってるの?らしくねぇぞ。颯。自暴自棄になるなよ。ほら。飯食お?服着てくるわ」
「そうですね。お巫山戯が過ぎましたね。待ってますので行ってらっしゃい」
危なかった…俺が断ったら心底ホッとした顔してた…良かった…欲に負けてしまわないで…颯を苦しめるところだった…
自室で部屋着に着替えて戻ると準備は全て終わっていて一緒にいただきますをして黙々と食べた。
母の用意してくれていた飯とアメリアさんの飯。どれもすごくうまい
「やっぱりアメリアさんのご飯美味しいな」
「ありがとう。でも僕は昌子さんの日本の母の味そのものの優しさも好きです」
ふわりと笑う颯。俺に向けるこの顔は久しぶりに見た。
ともだちにシェアしよう!