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第12話
食事を終え片付けて居間でテレビを見ていると父が帰宅した
「ただいま!いらっしゃい。颯くん」
「お邪魔してます」
「うちに泊まるのは久しぶりだねぇ。だから颯くんの好きなケーキ屋さん寄ってきた。いっしょに食べよう!」
「ありがとうございます!」
「先に飯食えよ」
「わかってるよ!その前に風呂にいってくる」
親父は見た目はどっちかというと強面で近付くのも憚られるくらいなのだが自宅ではもう俺にも甘くてニコニコしてる。颯のことはとても気に入っていて恐らく俺より可愛がっているんじゃないだろうか?と思えるほどだ。そして見た目と違いかなりの甘党で颯と味覚も合う
颯の父親はかなり忙しい人で行事に参加も中々できないので俺の父親が代わりに出たりしてる。そういうのもあり颯も第二の父親だと慕っている。
中々会えない颯の父親。しかし、仲違いするでもなく実はかなり溺愛されている。
いつも涙声で電話してくるくらい颯のことが大好きだ。それをアメリアさんは微笑ましく見ている。
「颯くん!食べよー!!」
あっという間に風呂から上がり夕飯を平らげた父が颯にニコニコと話しかける。
颯も子供みたいな笑顔を向けてケーキの箱の中を覗いていた。
「焔は食べないのですか?」
「食べるよ。先に二人が選びなよ。俺どれでもいいからさ。あ。母さんはこれ好きだからとっておいてあげて」
「わかってるよぉ。焔!」
父は母のお気に入りのケーキを別の皿に移して冷蔵庫に仕舞い戻ってくると颯と同じ子供みたいな顔をしながら選んでた
俺は残ったものを手元に置く。
「颯。少し俺のも食べる?」
「いいのですか?」
「いいよ。今日は特別ね」
「ありがとうございます」
少しでもあいつのこと忘れられたらいい…好きなものを食べているときくらいは…
ケーキがなくなった頃母も帰宅してみんなで少し話して俺たちは俺の部屋に上がる。
「颯?どうした?眠い?」
「まだ…大丈夫です…」
颯は夜も弱い。かなり早めにいつも寝てる。でも今日はまだ眠りたくないようだ。
「添い寝してやろうか?」
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