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第13話
「まだ…起きて…」
「ほら。寝な?」
「ねぇ…焔…」
「ん?」
「僕ね、凄く幸せでした…あの人といられて…でも…やはりこの想いは普通と違う…僕は同性しか愛することはできません…きっと…いずれまた他に好きな人ができて…運良く隣にいられるとしても…きっと…いつか…は…皆…離れていくのでしょう…ね。僕は…きっと…ずっと…一人で…生きて行くのでしょう…」
「…颯…」
この国で同性婚は数年前に可能になったし男性の妊娠できる薬は今開発途中だ。そう経たないうちに完成するだろう。
でもやはり皆が皆同性婚に対して好意的というわけではない。偏見の目もまだ多くあるのだ。だからこそ颯はそんなことを思うのだろう。実際あいつは同性である颯ではなく女との結婚を選んだのだから…
「焔は…ずっと…友として…側に…いて…くれます…か…」
友として…か…俺なら友としてだけでなくパートナーとしても…一生…颯を離さないのに…お前はやはり望んでないんだな。
ねぇ…颯。お前は皆離れて行くと言うけれどいつかはお前のことを心から愛し一生を共にしたいと言う奴が現れるよ…だって…颯はとても…
「焔…ずっと…側に…いて…」
その時俺は友としてお前を見送れるのだろうか…いつもと変わらぬお前の求める友という姿で…笑顔で見送れるのだろうか…
「ずっと…側にいるよ。颯。だって俺たちは親友なんだから」
「ん…よか…った…焔…大好きだよ…」
その大好きが俺と同じならどんだけいいか…どれだけ願っても…それは叶わない願い…
「俺も大好きだよ。颯…」
本音は隠してそっと颯を撫でる
「焔…ありがと…」
「ん…」
「焔…でもね…僕がお前の側にいることで…困ることがあれば…すぐ…いってくださいね…焔は素敵なんだから…」
「意味わかんね。一生側にってたった今言ってたのに」
「本当に…ははっ…」
「もう寝ろ」
「焔…抱き締めて眠ってくれませんか?今夜だけ…お願いします…」
「…わかった…なら端につめてくれる?」
「ん…」
もそもそと壁際に寄った颯を抱き締めるとすぐに寝息が聞こえてきた。安心しきった顔で…
「颯…こんなに…好きなのに…お前の心は手に入らない…」
そっと額に口付けてそっと目を閉じた…
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