26 / 124

第26話

アメリアさんは服を作るのは趣味で小さい頃からいくつも作ってもらってる 「別に新しく作ってもらわなくても沢山あるのに」 「そう言わず着てやってください。折角滋野くんと遊ぶのですからお洒落しないと。ご存知でしょ?滋野くんの家がファッション関係の家で滋野くんがモデルしてること」 「それは知ってるけど…」 「だったら見劣りしないようにしないと!モデルと並んでも遜色ない素材を持っているのですから勿体ない。焔も良く見られて欲しいのですよ」 「ただ友達と遊ぶだけなのにそんなに着飾らないとならねぇのか?俺はむしろジャージとかスウェットで行きたいくらいなんだけど」 颯と一緒に歩くわけではないのだから適当で良いと思うのだが… 「いいえ!焔はもっと自分を理解すべきです!もしかすると素敵な女性と出会うかもしれませんよ!」 「いや。別にいらねぇけど」 「いいえ!俺の夢はお前の子供を胸に抱くことですから!!お前は普通の恋愛もできるんですよ!だったら楽しまないと」 わかってねぇな…そんな力説されてもさぁ…俺はお前と俺の子供が欲しいんだけど…。わけわかんない女となんて真っ平だ… でも、期待した顔で見られてしまうとどうにも逆らえずアメリアさんに作ってもらった物に袖を通した。アメリアさんは結婚する前は世界中が知っているブランドのデザイナーをしていたらしいから物は確かだ。 「ほぉ…やはり貴方は男前です」 「そりゃどうも」 「ここ座って。髪弄るので」 「いいよ。そんなの」 「いいえ!俺がやりたいからやらせてください」 「わかったよ…」 颯は人の髪をいじるのも得意だ。いろんな事を器用に何でもこなせる。 颯に言われるままいつもより少し着飾った。気付けばもうすぐ出なければならない時間だった 「颯。一人で外に出るなよ。今日は助けてやれない。だからおとなしく家にいろ」 「わかってますよ。ゆっくり楽しんできてくださいね」 「…あぁ」 正直颯がいないんだからつまらない…初めて他の奴と遊ぶのだ…すごく面倒だ。やる気もなく待ち合わせの場所につくとまだ滋野は来てなくて近くにあるベンチに腰かけようと場所を移動しようとする。その時 「あの!お一人ですか?」 女に声をかけられた。 「いえ。待ち合わせ中です」 「あの!あの!お相手はご友人ですか?…私も友人と一緒なので一緒にお食事でも…」 強引な甘い匂いをさせた女。おそらく世間的には美人の部類に入る人だろう。その姿からおそらく断られたことなんてないんだろう。 どう断ろうか思案していると滋野が現れた。 「お待たせ!」 「きゃー!!」 来た途端黄色い声が上がる。 「も…モデルの…紫音くん!!あの…いつも応援してます」 「ありがと!ごめんね!今日はこいつとデートなの。だからまたね」 「デートって…お前…」 「いいからいいから。俺に合わせて」 「わかった…」

ともだちにシェアしよう!