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第29話

「えぇ!!アキラはアキラなのに?」 「だってアキラってしか聞いてないし」 「そうだったね!俺は宮之城 晃だよ」 「…名字長い…やっぱアキラでもいい?」 「いいよ!んじゃ俺は…ミツかな」 「ミツ?」 「うん。満留のみつ。焔の名前カッコいいけど紫音が妬くから」 「アキラァ!!可愛い」 「かわいい言うな。お前が面倒だからだよ」 「…本当に付き合ってないの?」 「ないよ!!ないない!!」 「そんな否定しなくても良いじゃん!」 「…なにか理由でもあんの?」 「うん。俺ね。昔色々あったから中卒なの。で、一応二人の二つ上なんだ。四月生まれだから18歳。紫音の家は大きな会社でしょ。中卒の俺が隣にいたら申し訳なくて…確かに俺は紫音のこと好意が全くないって言ったら嘘になるんだけどね。だから早く隣にいてもまだましになりたくて大学いこうかと思ってるんだ。その資金集めにバイト掛け持ちしてる。もうすぐ認定試験受けようと勉強中なの。」 「いつ寝てるの?」 「ん?居酒屋の後は極力寝るようにしてる。あまり遅くならないようにしてくれるから助かってるの。どのバイトも大体同じ日に休みをくれるから勉強はその時集中してやる。バイトの時暇な時間はみんなが問題だしてくれたりするの。直ぐ出せるように所々に参考書とか勉強の役立つものとか置いてくれてる。本当に恵まれてるよね」 「…そっか。滋野とはいつから?」 「出会ったのは二年前だね。さっきのバイト先に仕事の関係で紫音が来たの。可愛い彼女役のモデルさんと一緒だったね。俺は普段から雑誌やテレビなんかはあまりみないからどこの誰なのかわかんなくて。でも楽しそうにしてる姿をみてほんわり暖かくなった。モデルさんってすごいなぁって思った」 「そうなんだ」 「うん。っていってもその日に何かあったわけではなくてね。それから紫音が週一回くらい来てくれるようになって少し話すようになって仕事の時じゃなくてもにこにこしてて感じが良いなぁって」 「俺は撮影の日にアキラに一目惚れしたんだよ。他の子達は俺のこと知ってて騒いでる中にただ静かに微笑んでるアキラに。俺さやっぱり家のこともあるし仕事のこともあるしで普通に接してもらったこと少なかったんだよね。だから俺を知らないアキラが新鮮ですごく可愛く見えた。始めは正直女の子だって思ってたんだけどね。男の子ってわかっても好きって気持ち諦められなくて通ったんだよ。んで暫くしてやっと遊びにいく約束取り付けて口説いた。俺の家のことやこれまでのことや…とにかく俺の全てを知って欲しくて色々話した上でね」

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