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第30話

懐かしそうに幸せそうに話す2人。出会って2年…か…相思相愛で羨ましい… どんなに付き合いが長くったって俺の想いは一生伝えられないものだから…でも…2人の姿を見ていたらいつか並んで手を繋ぐ姿は容易く想像ついた。 俺の想いは叶わないけれど思い合ってる2人はうまくいって欲しい。 気持ちが繋がってても家の問題でうまくいかないこともあるんだな 「口説かれた日はまさかそういう意味だなんて思わなくて冗談かと思っていたんだけどその後も何度も伝えてくれるし遊びにいくときはすごく楽しかったしで気付けば惹かれてて…でも俺は中卒のただのバイト。家も施設暮らし。そんな俺が紫音の厳格な家の長男である人の隣にいて良いわけないって…そう思って…」 「そんなの関係ないし家を捨てても俺は構わない。ファッション業界でやっていけなくたって構わない!そう言ってるんだけど…」 「家を捨てるなんてダメだ。小さい頃からの夢を諦めて欲しくないんだよね。でも俺も気持ちが諦めきれないから藻掻いてみようって思って」 「藻掻いてみる…か…うまくいくといいな」 「うん。頑張る!!」 「…焔。お前さ…」 「ん?」 「やっぱり三葉のこと…」 「…想ってる人がいるんだね」 「…いる…俺は…幼馴染みをずっと…」 覚悟を決めて口を開いた。颯のこと伝えられない理由…俺の話を自分のことのように表情を変えながら聞く2人… 「…だから…俺はっ…」 気付けば一滴頬を伝ってた 「ミツくん」 「ん…」 「怖いよね…関係が変わってしまうんじゃないかってこと…」 「怖い…俺は…ずっとあいつの隣にいたい…だから…」 「意味わかんない。」 「は?」 「好きなら好き。伝えれば良いじゃん」 「そんな簡単なことじゃねぇんだよ…」 「簡単だなんて思わねぇ。でもやってもないうちから諦めるなんて…悪いことしか想像できないなんてそんなの三葉のこと信じてないみたい」 「颯は俺のことは望んでない!」 「望まれてるじゃん。一生隣にいてくれって言われてるんだろ?」 「それは俺の思いとは違う」 「でも伝えなきゃなにも変わらない」 「変わらない方がいい」 「嘘だよ。変わりたいから伝えられないんだろ?」 「でも!」 言葉を繋ごうとした 「2人とも落ち着いて。紫音の言うこともミツくんの言うこともわかるよ。でもね紫音。ミツくんにはミツくんの考えがある。そんなに責めるようなこと言わないで」 「…ごめん…だって…2人の距離感って俺…好きで…互いに信頼し合ってる姿が…羨ましくて…俺がどんなに酷いこといっても2人は強くて…それって2人が思い合ってるからで…だから…うまくいって欲しくて」 「…ミツくんは今のままがいいんだよね?」 「うん…」 「耐えられるんだよね?」 「耐える…よ…」 「…ミツくん…迷いが…あるんだね。」 「でも…これまでも耐えてきたから…だから…」 「…伝えないと溺れちゃいそう…だから一度は伝えてみたらいいんじゃないかな。直ぐじゃなくてもいいからさ。」 「…」 「無理にとは言わない。でもミツくん笑って欲しいな…」

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