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第33話

……… 洸哉side 家に招いたことは何度かある。それなのに颯くんは嬉しそうにまるで初めて来たみたいにいつも喜んでくれる 可愛くて綺麗で…大好きなまだ幼い恋人… 俺は…もうすぐこの子を置いてこの世を去らなければならない あれは数ヵ月前の出来事で… 最近体調が優れない。風邪を引いてそれが長引いているものだと思ってた。 幼い頃からの夢。教師になれてまだ一年目。これから沢山の子供たちに出会い、共に歩み育てていく…そんな希望を持っていた…これからだったのに… 検査を終え医師はとても苦い顔をした。ただの風邪ではないのだということはその表情で理解した。 「先生。俺…死ぬんですか?」 「人はいつか必ずその日を迎えます」 「俺は?」 「…」 「…何年生きるの?」 医師は意を決したように顔をあげた。病院に連れてきてくれた兄とその婚約者であるえみりを診察室に呼び俺には席を外すよう言われたのだが俺がそこに無理に止まった。医師は困ったように俯いた。その彼が顔をあげやっと口を開く 「…余命…3ヶ月です…」 正直そのときの記憶は曖昧だ。難しい説明をする医師の話は聞こえない、 3ヶ月?たった?何で?俺何かした? 全うに生きてきたつもりだった…確かに好きでもない女の子と付き合ったのは一度や二度ではないがでも付き合っているとき他の子と遊んだりとかそんなのしたこともなかったし誠実に接してきたつもりだ。 「洸哉が?どうして、」 兄もえみりもとても悲しんでた。けど俺がそのとき想っていたのは颯くんのことだった。彼は俺が死んだらどれだけ苦しむだろう… 颯くんとの始まりは…

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