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第37話
洸哉side
それから数日後のある日のことだった。
その日、急遽仕事が入り披露宴の打ち合わせに行けなくなった兄の代わりとしてえみりの付き添いで式場へ行ことになった。その道中のこと
「颯くんが可愛くて仕方ない!」
「聞き飽きたわよ。あんたがベタボレの彼見てみたいわ」
「だめ。颯くんが減る」
「はいはい。ったく…」
「あれ?」
「どうしたの?」
俺の目線の先には愛しい人に良く似た人がいた。俺の目線の先を追ったえみりも息を飲んだ
「すごい…美人…」
「颯くんのお母様だ。そっくりだな…」
「えぇ!?男の子よね?あんなに美人さんなの?」
「だからそう言ってるでしょ!
俺!挨拶してくる!少しでも印象良くしておきたいし!話してみたいから!!」
「ちょ!洸哉!待ってよ」
少し足早に彼女に近づく。
「こんにちは。貴方は…三葉くんのお母様ですか?」
「えぇ。初めまして。アメリアです」
「突然お声をかけてしまって申し訳ありません。教師の七雲 洸哉です。三葉くんとあまりにも似ているから直ぐに気が付いたのでそのまま通り過ぎるのも憚られまして」
「颯は私にそっくりですものね。いつもお世話になっております」
「彼はとても優秀で皆に慕われています。」
「そう言って頂けるとありがたいです…そちらの女性は…恋人…ですか?」
やはりそう見えるか。自分で言うのもなんだが兄と瓜二つな俺とえみりはおそらく世間的には顔はいい部類にはいるし兄とえみりが並んでいる姿は絵になるほどお似合いだ。そう言われても仕方ないがここはきっちり否定しておく
「いえ。友人です」
「お似合いだから恋人かと」
「いえ。彼女とは幼馴染みで」
「初めまして。友人のえみりです」
「今度彼女結婚するんです。その打ち合わせに同行するんです。」
違うことをしっかり伝えないと。
「そうなのですね。おめでとうございます」
颯くんの顔でにこりと微笑む。やはり美しい人だ。えみりも同じ女性なのに照れてしまい頬を染めて思わず目をそらした。
「ありがとうございます。初めてお会いしたのに突然こんな…恥ずかしいです」
「お幸せになってね。お時間は平気?打ち合わせに行くのでしょう?」
「そうでした。では失礼いたします」
「えぇ。颯のことこれからもよろしくお願いしますね。ではまた。失礼します」
柔らかくそう微笑むと会釈をして立ち去っていく。その後ろ姿でさえ美しいのが解る
「すっご…あんなに艶のある美人さんなの?颯くんも」
「うん。すっごくね」
「…うん。…好きになっちゃうよね」
「わかってくれる?そうなんだよ!!もうね。堪らなく…」
「わかった!わかったから行こうよ。時間になっちゃう」
「あ。ごめんごめん」
打ち合わせも終わった頃兄から連絡が入って迎えに来てもらった。えみりがやや興奮ぎみに颯くんのお母様のことを兄に話した。
兄はにこにことその話を聞いていた。
「一度挨拶くらいさせろよ!颯くんに」
「やぁだ!颯くんが…」
「減るんだろ?んなことあるか!」
「ふふ…ちゃんと会わせるから待ってて」
「本当に…洸哉は颯くんが関わると残念な子になっちゃうね。かっちゃんと一緒で美人さんなのにねぇ?勿体無い。」
「そんなだらしない顔なんて見せらんないな!颯くんには。まぁそんな顔させられるのも颯くんだからなんだろうけどさ」
「だね」
三人で大口開けて笑って…そんな日々が続いていって…そして未来は…
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