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第36話
洸哉side
「先生」
この日も行為に及んで帰宅するときだった
「どうしたの?」
「焔に俺たちのことばれてた…ここでしてるのみられてた」
「え…」
「大丈夫。焔は絶対に誰にも言わないから」
そこは全く心配してない。でもあの姿を見られた?彼に?それは俺にとっては大きな問題。だって彼は颯くんのこと俺と同じ好きな気持ちあること知ってるから。
恐らくこの学校では俺しか気付いてないようだけれど。
焔くんはいつも颯くんの隣にいて誰よりも颯くんに信頼されてる。俺にとって一番の恐怖。それは焔くんに颯くんを捕られてしまうんじゃないかってこと。
あとは颯くんをおかずにして…なんて…想像しただけで妬ける
一度彼と話して釘を刺しておきたい。
でもなかなかそのチャンスは訪れなくて時間がかかったがそれは突然訪れた。たまたま自宅近くで焔くんと出会したのだ。
そのまま自宅に招いて話をすることにした
「ねぇ。満留くん」
「はい」
「三葉君と仲良いよね?」
「幼馴染みですから」
「俺らのこと…何か聞いてる?」
「えぇ。あいつが…普段仏頂面のあいつが嬉しそうに話していました。大丈夫ですよ。誰にも話すつもりはありません」
嬉しそうに話してくれてるんだ…思わずにやけそうになる。嬉しすぎる…でも彼にとっては苦痛だろう。でも颯くんは渡さない…渡したくない…
「ありがとう。俺ね…これが…この関係が世間から認められるものじゃないことだって…わかってる…でも…好きなんだ…どうしようもなく…」
「はい。」
「だから心配なんだ。君と三葉君とても仲がいいから」
「そんなに颯の気持ち信じられませんか?」
「そういうことじゃないよ。彼はとても綺麗で聡明で若い。俺にはとても勿体無い…でもどうしても彼のこと…だからこそ…彼の未来を想うと迷いが出てしまうんだ」
年も立場も違う俺よりも近くにいる彼に心を奪われてしまうのではないかということが怖い…颯くんの想いを疑ったことはないけれどやっぱり怖いものは怖いのだ
「好きだけじゃだめなんすか?お互い想い合って一緒にいれるんだからそれが一番じゃないっすか?俺はいいと思うけど?あんたの立場とか考えたら?そんなの知らない。颯は俺の大切な幼馴染みです。あいつが嬉しそうに幸せそうにしてるなら立場なんてどうでもいい。相手が何だっていい。ただあんたが颯を想い続けてくれるだけでいい」
この子も妙に大人びてる。どう考えても俺は彼にとっては邪魔物でしかないだろう。それなのに真っ直ぐそう言える。若さゆえの勢いがある…でもその言葉に救われた。ごめんね。君に颯くんを譲ってあげられなくて。こんなにいい男なのに…おそらく俺よりずっと大人だね
「…そうだね…そうだよね…うん…大切にする…俺が…初めて本気になった相手だから」
「っ!?」
そういう反応だよね。まぁ仕方ない
「驚いた?」
「だってあんたその年でその面構えでその性格でこれまで恋人がいなかったことなんてあるわけないでしょ?」
「…そうだね…そう…恋人はいたよ。でもね…好きになることはなかった…好きだと言われたから付き合ったし…そうしたら向こうが俺に愛想がつきて離れていった。でも苦しいって思ったり悲しいって思ったり…そんなことはなかった…必死で繋ぎ止めたいって思ったこともなかったんだ…だから…俺から本気になって俺から好きだって伝えて想いが通じたのは三葉君が…颯が初めて…離したくない…離れたくないって…そう思うのも」
子供相手に何をいってるんだ…そう思うけれど颯くんを渡したくない一心で全て彼に話してしまってた。それは全く無意識。でももう言ってしまったことはなかったことにはできない。
「…だったらこれからも颯をよろしくお願いします」
それが功を奏したのか彼は俺に頭を下げた
「…ありがとう」
ごめんね。焔くん…心が狭くてごめんね…颯くんのこと本当に愛してるんだ…だから…約束するよ。一生愛し続けること
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