38 / 124
第38話
洸哉side
本当に本当に幸せだったんだ…颯くんと一生離れたくないって思ってた…奇しくもその想いは叶いそうだけれどでも思ってたのと違う。
これから一緒に年を取っていってきっと数十年もすれば男も妊娠できる薬が出来て颯くんと一緒になって俺と颯くんの子供が出来て二人でその子の成長を見守りながら愛し合って…互いの年の差なんて気にならないくらいの年齢になってお互いじいさんになって…
俺の方が年上だし俺が先に逝く…それを颯くんに見送られる…「本当に…いい人生だった」ってどこかで聞いたような台詞を言って最期を…そんなはず…だったのに
「何で俺なの?…」
こんなに早く逝ったら…俺が想い描いてた未来予想図なんて他の人と一緒にするよね?…嫌だな…でも…俺が一番愛している人…幸せになって欲しい…あの可愛い笑顔で生きていて欲しい…俺はそのときは隣にはいないけれど…
「颯くん…」
何度も病気のこと言おうと思った…でも…言えなかった…
結局言えないまま体力は落ちていく…刻一刻と最期のときは迫ってきている…もう…限界が近い
「校長先生」
「どうしましたか?七雲先生」
「お話があります」
本当は来年度もこの学校で教鞭をとるはずだった…でも…
校長に伝えると校長は涙を流した
「そんな…どうして…」
「本当に…自分も予想外です…それで…あのご相談があるのですが」
ここを去る本当の理由は全生徒と教師たちに伏せて欲しいことやいろんなことを校長にお願いすると校長は渋々頷いてくれた。
「とにかく自分を人間のくずだと思わせて下さい…みんなに…」
このときは颯くんと別れることをやっとの想いで決めた後…。
ともだちにシェアしよう!