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第40話

光哉side ある程度片付いてもう少しで終わりそうだ。気が付けば陽は傾きはじめてた。 「小腹が空いたわね。少し買い物いってくるね」 勤めて明るくそう言って部屋を出たえみり。すぐ近くに店はあるので15分程度で戻るだろう。食事するスペースを作っていたらインターフォンも鳴らずいきなり戸が開いた。えみりにしては乱暴だな…そう思ってたら… 「せんせっ!!」 玄関に立っていたのは息を切らした焔くん。 きっと颯くんに別れたことを聞いて居てもたってもいられなかったのだろう…冷静になるため深く息をした 「満留くん?どうしたの?そんな…血相変えて」 「颯っ…とっ…はぁ…はぁ…別れたって…はぁ…聞い…ってっ…はぁはぁ…」 やはりそうだ…本当に…君はいつも必死に颯くんを愛してくれているね…颯くんのために全力で走ってきてくれて… その想いが颯くんに届けばいいのに… 俺が居なくなって颯くんが一生を共にしようと思える人が彼であればと切に思う。彼以上に颯くんを大切にしてくれる人はいないと思うから…彼にしか颯くんを託したくないな…何て…身勝手な想い 「うん…別れたよ」 「なっ…で…」 「颯から…聞いたんでしょ?転勤が決まったし…結婚するんだ…」 「う…そだ…はぁ…そんなの…」 「…本当だよ?…」 「だって…あんた…あの日…」 あぁ。あの日の言葉に嘘は1つもないよ…本当に愛してた…今もそれは変わらない…ずっと大切にしたかった…でも 「あははっ!!信じてたの?まだまだ子供だね!いくら大人びていてもやっぱり中学生…ガキだ…颯は綺麗だったし体も相性いいし…さいっこうのオモチャだったよ!!」 「っ!!てめー!!」 胸倉を捕まれる。当然だろう…殴ってくれればいいのに彼はそうしないのを俺は知ってる。殴ってくれたら少しだけ気が楽になるはずなんだけどな… 「…やっぱり颯のこと好きなんだ?特別な意味で」 「っさい!!俺はあいつのその対象になることなんてねぇ!!だからっ!お前を!!なのに!!颯泣いてた!!お前を思って泣いてた!!」 泣いてた?俺を思って?正直苦しいけど嬉しい…まだ好きでいてくれているままだなんて…俺も君が好きだよ… 「へぇ。そう。」 丁度いいタイミングがえみりが帰ってきた。 本当にえみりはタイミング図る天才だな…意識してしている訳じゃないけど。出会ってから今までどんなときもいつもタイミング良く現れてくれてる 「あれ?洸哉?どうしたの?その子何?生徒さん?」 「うん。…颯くんを想ってる子…彼にしか託したくないんだ」 もう一度えみりにしか聞こえない声で囁くとえみりは渋い顔をしたが俺に合わせてくれた 「初めまして!えみりよ。あなたも綺麗な子ね!」 「っ!この人が」 「うん!婚約者。綺麗でしょ?」 婚約者だなんて言い過ぎかな?そう思った。だってえみりが険しい顔してるし。ごめんね…えみり…巻き込んで… 「ちょっと…洸哉…」 これ以上は俺もえみりも本音は隠せない… 早く…早く焔くんをここから出さないと… そう想いえみりを抱き寄せようと腕を伸ばした 「ほら。えみり入って。もうすぐ荷造り終わるから手伝って。じゃあね。満留くん」 「ちょ!待てよ!」 まだ言いたいことは沢山あるはずなんだ…でも…もう限界…これ以上ここに彼がいたら嫉妬で狂って発狂しそう…俺はいなくなるのに焔くんは一緒に過ごせるんだから…急いで焔くんを家の外に追い出して扉を乱暴に閉め鍵をかける。何度もドアを叩くけれど暫くすると隣が帰ってきて静かになり足音が遠ざかっていった 「…洸哉…あんた…どういうつもり?…本当に…これでよかったの?」 「これでっ…いいんだよ…いいんだ…ごめんね…えみり…ごめん…颯くんっ…あぁぁぁぁ…何で…何で…俺が…颯…っ…颯…っ…」 好きだよ…愛してるよ…君と生きていきたかったよ…颯くん…もう涙は止まらなかった。折角えみりが用意してくれたものも食べられなくてそのまま床に転がった。 「洸哉。少し食べてよ」 「食べたくない…ごめん…えみり…」 それから数時間。状況をえみりに聞いた克哉がやって来た。俺の姿を見て泣きそうに顔を歪ませた 「洸哉…洸哉…何もしてやれなくて…ごめん…ごめんな」 「…颯くん…幸せになって欲しいな…颯くん…颯くん…」 克哉は幼い頃からしてくれたみたいに髪を撫でてくれた。

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