44 / 124

第44話

「ねぇ。焔」 「何?」 「俺…愛されてたんですね」 「そうだな」 「…せんせっ…」 「颯…」 「よかった…」 「うん…」 「…焔…」 「…」 「…本当に好きだったんです…本当に…お兄さんを見て息が止まりそうでした。あまりにも良く似てた」 「まぁ…双子だしな…」 「もう…焔…冷静に返さないでくださいよ」 「…ふっ…笑ったな…お前はちゃんと愛されてた…自信もって生きろ。先生の分まで誰かを愛して…先生の分まで絶対幸せになれ」 「はい…」 「とりあえず。泣け」 颯の涙はもう悲しい涙じゃない…そうであって欲しい… 先生…貴方は俺に颯を託してくれた…貴方の想い描いた関係にはきっとなれない…でも…違う形で…きっと颯を… 俺は何度も同じことを想い何度も葛藤するだろう。さっきまで一生を共にすると思っていても次の瞬間には無理だと離れてみようとする。 でもさ。結局俺は離れられないんだろうね。俺の想いと颯の想いが重なることは万に1つもない。 けれど俺の心はどうしたって颯意外に向かないから仕方がない。 何度も泣くだろうし苦しむだろうけれど颯の笑顔は俺の心を殺してでも守るから…だから安心して眠ってください…

ともだちにシェアしよう!