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第45話

それから時は過ぎ俺たちは一つ学年が上がった。 俺と颯の関係は変わらずだ。しかし颯の雪割への想いは前より増したように見える。きっと恋する時の迷いが消えたから。 颯の胸にはあの日からあのネックレスが光ってる。 俺がもらったものは家のクローゼットの奥へ仕舞ってある。単純に普段からつけることは不可能だから。 学校が終われば道場に行くからすぐに外すし学校じゃ字を書くとき邪魔になるから。 先生もわかってたはずなのにそれにした意図はさっぱりわからないけれどでも毎日その箱を開け行ってきますを言うのが俺の日課になった 幾分か前より明るくなったように見える颯。そんな颯を放っておく輩がいるはずもなく男女問わず以前から告白されてきたけれどその人数も増えたように思う。 とはいえ颯は一途だから全て断ってはいたが… 「焔」 「ん?」 「おそらくですけど…雪割は…ゲイです」 「は?」 ある日突如告げられた事実にポカンと口を開けてしまった 「…よかったな。お前にもチャンスあるってことだね。何でわかったの?」 「雪割が男女問わず告白を受けているのは知っていますよね」 「あぁ。」 「目撃したのがたまたま続いたのですが女性に対する断り方と男性に対する断り方が大きく違うのです。それに…見ました…雪割が外で男とその…睦まじく歩いているのを…そのまま…ホテルへ消えていくのを」 雪割は大人っぽいのでホテルに入るときも年齢はごまかせるのだろう 「え?ホテル?」 「えぇ。そういうことをするホテルです」 「あの雪割が?」 「何だか自棄になっているような気がします。真実はわかりませんが…俺が思うに…おそらく彼は恋い焦がれている人がいて…それはきっと叶わないもの…だから他で紛らわせているのかもしれません。…相手は…きっと…水無月くんです。わかるんです。俺はいつも彼を見てますから彼の目線の先には必ず水無月くんがいるって…水無月くんは全く気がついていませんが…」 まるで俺と颯みたいだ… 「焔?どうかしましたか?」 「…いや…それでもお前は雪割が好きなんだろ?」 「はい」 「だったら…そんな顔すんな。ひでー顔だぞ」 「そうですね…もう少し…フラれる勇気を持てたなら…告白してみます」

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