47 / 124

第47話

「焔」 「ん」 「水無月と葉月先輩…お付き合い始まったようですね」 その事実は瞬く間に学校中に広がった。これまでかなりモテるのに浮いた話一つなかった芙蓉先輩が同じ委員会の後輩を選んだんだから大騒ぎになるのは必然だった。 その後も雪割は変わらず水無月を想い続けているのは見ていて心が痛かった。 それを見る颯も自分のことのように苦しそうにしてた 結局俺たちの距離はそれ以降は特に変わることなく過ぎていく。 変わったのは颯と雪割が生徒会役員になったと言うこと。 雪割はつい最近までそれを断っていた。だけど水無月のこともあったからなのかその申し出をやっとの思いで受けた。 この学校では首席と次席の生徒が会長、副会長として引き継ぐのが伝統になっていてこれまでそれに応じなかった人はいなかったみたいで今回雪割がそのまま拒否し続ければ初の人になるはずだった。 生徒会役員になった颯と俺の下校時間は大幅に変わった。帰りがとても心配…だけど…雪割が 「三葉のこと俺送ってくから心配すんな。お前も道場の方が忙しいんだろ?」 そう申し出てくれてそれを受け入れることにした 「あぁ。助かる。颯は相変わらず危ない目に遇いそうになることも多いから」 「おぅ。任せろ」 このころ親父が体を悪くしてなかなか思う通りの指導ができないでいたので俺がこれまでよりも多く手伝わないとならなくなってた。 親父自信は頗る元気なのだが体がついていかない。これも年なのかと親父も落ち込んでた。 これで颯と雪割の距離が縮まって…そしてうまくいけばいい…そしたら…颯も雪割も仲良く笑えるかな? いいタイミングなのかもしれない。颯を少し離れて見守るやつに変わるいいタイミング… それからというもの俺と颯が一緒に帰宅することはほとんどなくなった。 そのまま三年になった俺たちは結局同じクラスで2人が仲良く話す様子を俺はただ見てた。 「満留おはよ」 「おはよう。滋野」 「今さらだけど三葉の好きなやつって」 「うん。雪割」 「お前は…いや…何でもない…」 「滋野」 「ん?」 「…あいつらうまくいくかな?」 「このまま何もなければうまく行く気もするけど…でも…今…雪割にはあの後輩くんがいるからな…」 そう。二人の仲は縮まっていたはずだった…。でも入学早々から毎日のように雪割の元へやってくる、霜月 中という名の後輩が出来た。 「せんぱーい!!」 「中…お前は毎日元気だな」 「はい!だって先輩に会えるから」 大型犬のようなやつだ。体もでかくていつもにこにこして尻尾でも振ってるみたいによく雪割に懐いている。 精悍な顔だちで水無月とは真逆の相手。でもこの後輩が出来たことで暗く沈んでいた雪割は少しずつ変わっていった。

ともだちにシェアしよう!