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第48話

中はとても人懐こいのですでに周りは皆好意的に見ていた。 顔もいいし性格もいい。体型も男らしくガッチリしていて密かに中に恋心を抱くものも出始めた。 とはいえ中は雪割のことしか見えてなくて。皆もそれは理解しているから変な気を起こす奴はいなかった。そんなある日のこと 「颯」 「はい」 「お前大丈夫?」 「ん~…あまり大丈夫ではないですね…雪割は中くんに見せるような自然な表情は俺にはほとんど見せてくれたことはないのです…毎日のように一緒に帰ってるのに…」 颯と一緒に登校しているときに聞くと颯が悔しそうに唇を噛む。綺麗な唇が傷ついてしまう…そう思うと無意識に親指で唇に触れていた 「傷ができる。噛むな…」 「焔…お前は…本当に…こんなこと俺だからいいですけど他の人だったら勘違いさせますよ。」 お前に勘違いされたいよ。まぁ。無理だけど 「…雪割の気持ちはきっと中くんに向きかけてる。でも…雪割はもう誰かを好きになるのは怖いって…そう話してくれたんです…」 「告白したの?」 「いいえ…ただそれとなく…そういう話を…」 「颯らしくないな。そんなにもたもたするの」 「…そうかもしれません。雪割を知る度どんどん好きになっていく…でも彼の恋も…失恋も…そして新たな出会いも…すべて見てきているから…だからこそ…なかなか踏み出せなくて…雪割と一緒にいたいから…だから…」 「言わなきゃ何も始まらねぇぞ。告白したからって変わるようなやつではないよ。雪割は。お前が一番わかってるでしょ?」 よく言うよな…自分はできないくせに…でも…きっと… 「そうですね。わかりました。もう覚悟決めますね」 颯の恋はうまくいかないだろう。でもこれもまた颯のためにはなることだから… 「明日…生徒会活動があるのでその時に告白してみます」 「おう」 しかし颯のその決意は翌日には果たされなかった。 この日の昼休み。いつも一人で来ていた中の隣には小柄な可愛らしい男がいた。雰囲気は水無月によく似てるがそいつが皆の前で言い放った一言で雪割を怒らせてしまった。 雪割の怒りはとても静かでおそらくその後輩と中には悟られなかっただろう。必死であいつは取り繕ってた。何でもないように。 でも普段から一緒の教室で学んでいる俺たちクラスメイトは皆が感じてた。 雪割を怒らせ…失望させたと…

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