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第52話
戻ってきたのは三人だった。中がいない。そして雪割の表情がいつもとどこか違うように見えて皆が心配して自然と三人に近付いていく。滋野が努めて明るく声をかけた
「あれぇ?中ちゃんは?」
それに続き引田が続ける。引田は一年の時颯にフラれて一年くらいして可愛い恋人ができた。今は颯と仲の良い友人の一人となっている
「ねぇねぇ!二人ってやっぱりそんな関係?雪輪!羨ましい」
「はぁ?そんなんじゃねぇよ。美空には付き合ってるやついるの!俺もその人が羨ましいわ」
「そうなのかぁ?水無月」
「うん。いるよ。」
「まじかぁ…雪輪だと思って二人みると癒されてたのに」
「なんだそれ。俺は美空の付き合ってる人に変な輩から守れって言われてんの。その人には頭上がんないから」
「水無月。相手の写真とかねぇの?」
「ないよ!ったく…俺たちで変な妄想しないで」
「ごめんごめん」
「んで?中ちゃんは?」
「あぁ。教室戻ったよ」
「中ちゃん凹んでるんじゃない?二人がそういう関係だって…」
「さぁな。あいつは婚約者いるんだし別に何でもいいんじゃねぇ?」
雪割は笑顔だった。でもどこかが何か違う。こんな言い方をするような奴ではないはずだ。
「雪輪つめたぁーい。あんなに中ちゃんに愛されてんのに」
「それこそねぇだろ。あんな可愛い婚約者いるんだし。俺とは全く違うタイプだろ」
「そうかな?あの婚約者ちゃんの思い込みっぽかったけどなぁ…中ちゃんはどうみてもお前の事好きだろ」
「知らねぇ」
翌日から中は雪割に会いに来なくなった。とても不自然な消え方…やはり何か拗れてしまったのだろうか…
「ねえ。睦月。いいの?」
「何が?」
「中くんのこと。このままでいいの?」
「何でだめなの?元に戻っただけでしょ?問題ないじゃん」
「本当にそう思ってるの?」
そんな会話を横に颯が俺の手を引き空き教室へ連れ出した
「ねぇ。焔」
「何だ?」
「中くんに何かあったのではないでしょうか?探しに行きたいのですが…俺生徒会でなかなか動きにくいんですよね」
「…俺が探しに行く。だから任せろ。」
「雪割は自分の気持ちには気付いてないのでしょうね…もう…中くんに心を奪われていること…俺は…動くのが遅すぎました…もう…雪割の心は手に入らない…焔…少しだけ胸を貸してください」
そういうと颯は俺の胸に顔を埋め静かに泣いた。颯が落ち着くまで背中を擦り続けた
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