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第53話
中の状況は俺たちが思っているよりもずっとずっと悪くなっていた。誰もそれには気付かないまま時だけは過ぎてもう三ヶ月がたってしまった…
来なくなった日から昼休みや放課後。中がいるであろう場所へ毎日のように探しに行った。
このころは親父の調子も戻っていたので訳を簡単に話し親父には暫く道場には来れないことは伝えていて親父は特に咎めることもなく逆に颯以外の誰かのために俺が動くことを喜び背中を押してくれた
探していたのは俺だけじゃない。クラスメイトも他のクラスのやつらも皆が中を探していた。
それだけ中は皆に愛されてた。
雪割は生徒会や勉強を前より積めてやっていて敢えて自分の中に生まれた感情を気が付かない振りをしているようだった。本人に自覚があったのかどうかはわからないけれど。
そして…やっとの思いで滋野、引田と共に中を見つけた。
想像以上の状態に俺まで涙が出そうなくらい悔しく苦しかった
それは1度も足を向けたことのない場所だった。体育館裏にある倉庫。老朽化したので常に使うものは新たに作られた倉庫へ移動させられていてこちらの倉庫はほとんど使っていない。立ち入り禁止になっているし誰も入らないと思っていてそちらに入ったことは無かったが胸騒ぎがして走っていた。そして側に来たとき小さく呻く声が聞こえたのだ。声はどうきいてもあのときの声にしか聞こえない…まさか…迷わず扉を開け叫ぶ
「お前ら!!何やってんだ!!」
他の奴ならどれだけ良いか…浮わついた気持ちを持った輩がただ単にここをヤリ部屋として使用してるだけなら良かった…
でも中にいたのはよく知る人物で引田が叫ぶ
「あたるん?…あたるんだ!!」
絶対に誰にも手を出さないつもりだった。でもあまりの光景に体が先に動いてた
「てめーら!!」
中に覆い被さる男たちを投げ飛ばしていく。倒れた奴等を滋野が手際よく拘束していく…
全ての男を薙ぎ倒すと奥には坂本が泣きながら踞ってた。
ここは二人に任せて俺は雪輪を呼びに走った。こんなに全力疾走したのはいつぶりだろう。
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