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第61話

それから一週間ほどたっただろうか。あいつらが戻ってきたらしく朝から雪割はそわそわしてた。中のことを心配しているのだろう。昼休みに雪割の姿はなくてきっとあいつらと話したのだろう。帰ってきたときにはスッキリした顔をしてて余裕も戻ったようだった。いい方に転んだようで安心した。 「良かった…」 戻ってきた雪割を見て颯は何か吹っ切れたように呟いた。 「焔。俺今日雪割に気持ちを伝えます」 「そうか…」 そして放課後。先に帰っていいと颯は言っていたがやはり心配で生徒会の仕事が終わるまで生徒会室の側の空き教室で待った。少しだけ声が漏れ出ていた 「会長」 「ん?どうした?」 「…好きです」 「は?どうした?三葉副会長。」 「…ずっと…ずっと…好きでした…ずっと見つめてきました」 「…」 「だから…わかってたんです…貴方があの後輩に特別な感情を抱いていたこと…」 「…」 「ふふ…気が付かなかったでしょ?必死で…取り繕っていましたから…。一目惚れ…だったんです…貴方が同性しか愛せないこともかなり前から気がついていました…だからあわゆくば…と思い貴方の目にいれてもらおうと勉強を必死でしました。でも…貴方はずっと水無月くんを思っていて…そして…しばらく…その気持ちが叶わなかったことを知り…これ幸いと…最低のことを思いました。…なのに…貴方が他に目を向けることはなかった…そんな貴方が気にかける人が現れた…そして…貴方は気がついたのでしょ?自分の思いに…だから…俺も…先に進まなければ…貴方のことが好きでした…でも…貴方には…本当の笑顔を浮かべていて欲しいから…俺にはそれは出来そうもない…だから…ここで区切りをつけたかった…突然すみません。でもスッキリしました。中くんと…幸せに…これからも生徒会役員の一員として貴方を精一杯サポートさせて頂きます。中くん待ってるでしょ?行ってください」 「ごめんね…三葉…気付いてあげられなくて…思っていてくれてありがとう…君も幸せになって…じゃあ…行くね…」 颯に背を向け生徒会室を後にしたのを見て颯のもとへ急ぐ。そっと生徒会室の扉を開けて中に入ると颯が呟く 「もう…会長…優しすぎ…」 颯はボロボロと泣いていた。わかっていたことなのに俺も苦しくて…そっと側に寄り添った 「颯…」 「…ここは関係者以外立ち入り禁止ですよ…焔…」 「颯…俺じゃ…ダメなの?…」 無意識のうちに発してたけど泣いてた颯には聞こえていなかったようだ 「なんですか?」 「何でもない。帰ろ…」 颯の手を引き学校を後にして泣き続けるのをただ黙って見ていた。周りから変な目でみられていたけれどそんなのどうでもよかった。 「焔…ありがとう…待っていてくれて…ねぇ…今日泊まりにいってもいい?」 「いいよ」

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