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第64話
颯side
雪割にフラれた。わかってたけどきつい…
焔に甘え続けるのはだめだってわかっているのに…待っていてくれた焔に縋り付いた。
思えば出会ってからこれまでずっと何かあれば焔に甘えてしまっている。焔は甘えたことなんてない。いつも強くそこに存在してた。
ねぇ。焔…お前が俺のことは対象外なのはわかってる。
きっと焔に大切な人ができたら俺にしてくれたみたいに…ううん…それ以上に焔は…
焔…焔に愛される人はとても幸せですね…
俺もお前を好きになれたら…好きになってもらえたらどれだけ…
でもやっぱり焔は一生共にしたい相手だから…
俺は始めから焔を恋愛対象になんて入れてなかった。友人以上の関係には絶対にならないとそう思ってたし今でもそのはずだ…
だって…これ以上の形になったら別れが来るかもしれない。それだけはやはり嫌だ…
俺はお前をそういう目では見れない…
…そのはずだった…。
同い年だが兄のような存在…
…だったはずなのに…
焔の初めて見る姿に俺はこれまで感じたことのなかったような感情が生まれた気がした…
もっと触りたい…もっと表情歪ませたい…
柄にもなく調子に乗って触り過ぎてしまった…
「キス…しちゃったな…」
焔の唇は熱くて俺も煽られて実は緩く反応してた。焔が止めてくれなきゃそのまま求めてた。
焔は優しいからお願いしたらきっと…
でもそれは…互いのためにはならない…だって焔は俺のことはただの幼馴染みとしか思ってないから…そうじゃないといけないから
「焔…ごめんなさい」
でも…小さく芽吹いたこの思いは…
「…だめですね。フラれたばかりで弱ってるのですね。だからこんなありもしないことを…」
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