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第67話

「お腹すいた…」 「そうですね。座っててください」 どうにかこの場を変えたくて子供みたいに呟いてみる。これ以上気付かせてはいけない…気のせいだと思わせなければならない 「あ。焔これだけ持ってってください」 「ん」 「おっと…」 足を縺れさせて俺の胸に飛び込む颯。 「すいません。俺としたことが…」 颯頬を染めないで…どうにかなってしまう… 「…」 何てこと…俺は無意識に颯の唇を食んでいた。 「…っ…」 颯にこんな顔させたい訳じゃないのに… 「近くに美味しそうなのあったからつい」 「そんなにお腹空いてるの?焔は仕方ないですねぇ」 「それ。もらうねぇ」 そのままそれを受け取りテーブルに置き腰かける。 すぐに颯も最後の料理を運んできて向かい側に腰かけた。 二人でいただきますして… 正直味なんてしなかった。颯の唇の余韻がまだ残ってるから 片付けた後も颯はいつも通りだったからきっと誤魔化せたのだろう それでも自室に好きな人がいるというのは堪える… いつものように早く眠った颯を起こさないように部屋から抜け出して出すものを出す。 あんなに出したのに…また出るとか…俺はどんだけ… 「アホらし…」 ミネラルウォーターを飲んで上に上がるといつものように颯を抱き締めて眠った。

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