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第72話
「焔ぁ…」
「颯あがった?部屋まで一緒にいこう」
「すげー…可愛い…」
「見んな。滋野」
「お前…本当に…すごいなぁ…アキラがいるのに俺間違い起こしたくなりそう」
「アキラに言いつけるぞ」
「それはやめて!」
「颯を部屋に連れてくから待ってろ」
「はいはぁい」
部屋の前に来た
「颯。今日はどこで寝る?客間?」
「ううん…焔のお部屋で…」
「わかった」
颯は無理して起きているとかなり幼くなる。こんな可愛い姿を先生にも見せてたのかと思うとやっぱり妬ける。
「ベッドでいい?」
「ん…」
「ほら。横になれ」
「焔…」
「ん?」
「少しだけ…抱き締めてて…」
「わかった」
颯に言われて横になり抱き締める。俺の胸に顔を埋めてスリスリと頬を寄せる
「焔…ねぇ…滋野と…何を…話して…いた…の…?」
「ん?アキラのこととか」
「…そう…焔も…アキラさん…みたいな…可愛い人が…お似合い…だ…よ…」
「そうか?」
「ん…僕は…ダメ…だよ…可愛くないもん」
「俺の中ではお前が一番だけどな。ほら。もう寝ろよ」
「焔…」
「ん?…っ!」
呼ばれて顔をみようとしたら颯が唇を塞いだ
「焔…は…僕…だけ…みて…いて…大好き…」
「…お前なぁ…人の気も知らないで…」
そのまま寝息を立て始めた颯の髪を掬い額に唇を寄せた
「…俺は…ずっとお前だけだよ。お前だけが好きなんだ…」
この言葉は届いてはいないだろう…こんなにも好きなのにこんなにも翻弄してくる…本当に…
「…お前は…酷い奴だな…颯…」
部屋の電気を消し居間へ戻る
「寝た?」
「あぁ」
「ねぇ。焔」
「何だ」
「お前もあんな甘い顔すんだな」
「甘い?わからねぇけど」
「あんな顔みたことないよ。他ではやめとけよ。お前に落ちる奴がこれまで以上にわんさか出てくる」
「ねぇよ。俺の側にはいつも颯がいるんだから」
「お前さ…もっと自覚しろ」
「は?」
「あのさ。三葉お前に自分が釣り合わないとか思ってんじゃねぇの?三葉の中でお前はきっと」
「ねぇよ」
言わんとすることは察したがそれは絶対にない。颯の中での俺はただの…
「どうだかねぇ。ガキの頃から一緒にいるから何か拗れてんじゃねぇの?」
「拗れてねぇよ。これが普通のことだ」
「…なんか…報われねぇなぁ。」
「そんなんお前に言われなくても始めからわかってる」
「いや…違くて…ん~でもこれは…俺が言ったところで…うん…焔。もう少し自信持てば?」
「別に自信ないとかはないけど?」
「…重症だわな」
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