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第76話
八重の部屋に通される。当然のことだが颯の部屋とは全く違う。
颯の部屋は基本的にスッキリしてる。余計なものは置かないから。
一方八重の部屋はスポーツ関連のものが多くおいてある。後に知ったが実は光藤と八重は幼馴染みで部活もずっと一緒だったようだ。
「適当に座ってて。飲み物とってくるから」
そういわれベッドを背もたれにしてテーブルの前に座る
直ぐに八重は戻ってきてにこりと笑顔を向けてくれた
「ふふ」
「ん?」
「嬉しいな…ここにいてくれるの」
「…恋人?だしね」
八重はわざわざ俺の隣に腰掛け身を預けるようにして俺に寄りかかってきた。拒否するのも悪いしそのままにする
「そういやぁさ今さらだけど何で颯や数人のやつから凪って呼ばれてるの?」
「あぁ。去年委員会で一緒だったアニメ好きな子がいてね、それに出てくるキャラクターに凄く似てるみたいで…えっと…あ。この子。でそこから委員会で一緒だった子はそう呼んでくれるんだよね」
スマホの画面を操作しながら八重が言う
「そうなんだ。ずっと謎だったんだよね。確かに似てるかもな。キャラクターのプロフィールとか」
「そうなんだよね。身長も体重も血液型も誕生日まで一緒だしね。聞いたときはビックリした。…焔くんは優しいね。俺に興味持ってくれるなんて」
「そうか?」
「うん。颯くんに言われたからなのも知れないけど…でもここに来てくれたのは焔くんの意思だから本当に…嬉しいんだ」
「…」
「あのね。僕ね実は昔小さい頃、焔くんに会ったことあるんだ。焔くんは覚えていないかもしれないけど」
突然始まった話を静かに聞く
「僕ね昔から小柄で女の子に間違われててね。小学校にあがったころくらいにね変な男に連れ去られそうになったの。大人の人は誰も周りにいなくて誰も助けてくれるはずもなくてもうパニックで泣き叫んでたら俺より少し大きいけど多分同じくらいの年の子が寄ってきてね…とっても大きい男を薙ぎ払ってくれて…事なきを得たの。丁度その時母親がやって来てその男の子に声かけてた。でね。名前教えてもらってお礼をしにご自宅に伺った。それが焔くん。君だったんだ」
確かにその頃変質者が多くて颯が危なかったからいつも一緒にいて颯を守ってたことがあった。
でも颯じゃない誰かのことは全く覚えてはいなかった。俺の中はやはり颯で一杯なのだと思い知らされる
「焔くんって名前が印象に残ってて…ずっと忘れられなかった。これまで何人かとお付き合いもしてきたけどやっぱり小さな頃の焔くんが忘れられなくて…高校で君をみたときすごく嬉しかった…でも君の隣にはいつも颯くんがいて…
颯くんとはね一年の頃同じクラスで同じ委員会だったから焔くんの話しはよく聞いてたの。
焔くんの話を聞いてたらどんどん好きの気持ちが一杯になってた。ダメだってわかってたのに…ずっと颯くんといるしとてもお似合いだったからずっと恋人なんだって思ってて…友達の恋人だもん…諦めなきゃって思ってたけど我慢できなくなっちゃった…だから颯くんと話したの…焔くん。君が颯くんのことを好きなことは十分理解してる…だからね僕のこと好きになってとは言わない…でも…」
体の向きを変え八重が俺の膝の上に股がる。そしてキスされた
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