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第77話
「都合のいい相手でいい…」
そんな言葉を言わせるなんて…
「一番にしてなんて言わない。だけど…今日だけ君を…独り占めさせて…僕を…抱いて?」
「…悪い。俺は颯以外で欲情しない…だからそれは聞けないんだ…」
「…そうだよね…」
「ごめん…俺帰るわ。この関係はもう終わりにしよ?そんなに想われたって俺にはどうしようもない。お前はお前の人生がある。俺のことは忘れてお前は違う人と幸せになる方がいい…」
「ダメだよ。颯くんに言われてるじゃない。勝手に別れてはダメだって」
「そうだよ。だけど今回は俺が悪かった。颯に嫌われるかもしれないが…いや…もう、嫌われてるだろうが…今回は颯の言うことはこれ以上聞けない…お前にこれ以上辛い顔させたくない…無理して笑うなよ…。気付いてたよ?時偶見せる無理した笑顔…お前は笑顔が一番似合う。俺がそう言ったことでそうなってんなら俺は俺が許せない。お前は…自然にお前と一緒に笑えるやつと…幸せになってほしい…無理なんかして欲しくないんだ…ごめん…ずるくてごめん…傷つけてごめん…」
「もう…本当に…焔くんってば…何で気付いてるかな…」
ボロボロと溢れだす涙を俺は拭ってはやれない…
「ごめんな…八重…好きになってやれなくて…」
「本当に…酷いよ…こんなにも好きなのに」
「ごめん…」
「じゃあさ…何もしなくていい…最後に今晩だけ隣にいて…手を握っていて?帰らないで…最後にするから…」
「…わかった」
「ありがと!じゃあゲームでもしよっか」
努めて明るくそう言った八重は立ち上がってゲーム機の準備を始めた。
そのあとは俺の隣にぴったりと寄り添いゲームをした。
途中から夢中になったのか自然な可愛らしい笑顔が見えるようになった
合間に飯も作ってくれて一緒に食べた。料理はそんなに得意ではないようだが俺のために一生懸命に作ってくれたのだと思うとちょっと焦げてようがしょっぱかろうが美味しい御馳走だった
風呂は勿論別に入り布団も別に敷いてくれた
でも眠りたくないのかゲームの続きをしてかなりの時間になった。こんなに夜更かししたのは久しぶりだった
「何か喉乾いちゃったね。とってくるね」
「おぅ。」
持ってきてくれた飲み物を口にしてゲームの続きをするのだがさすがにもう限界のようだ。コクリコクリと船を漕ぎ出した八重は俺の肩を枕に睡魔と格闘してる。
可愛いな…でも…もう…おしまい。八重と俺はこれで終わりなのだ…
「八重。ベッドいこうか。」
「ううん…まだ…寝たくないよ…」
「目閉じちゃってるよ。ほら。ね?」
「やだ…いやだよ…」
「そんなこと言わないで…ね?」
「やだ…じゃあ…キスして…最後に焔くんから…そしたら…そしたら…」
「…わかった」
いやいやと泣き出した八重を宥めるように額にキスをする
「やだ…それじゃ…やだ…」
「ごめんね。これ以上は…できない」
「焔くんの…バカ…」
そのまま眠りに落ちた八重をベッドに横たえて髪を撫でる
ごめんな…八重…
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