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第81話

帰宅すると珍しく両親が揃っていた 「ただいま」 「おかえり。思ったより早かったわね」 「あぁ。まぁね」 「颯くんに聞いたんだけど焔。あんた恋人できたんだって?」 「あぁ…うん。でも別れてきた」 「…そう…」 「シャワー浴びて着替えたらまた出かける」 「わかったわ。ねぇ。焔。何かあった?」 流石親だな…でも… 「何でもないよ。昨日遅くまでゲームしてたから寝不足なだけ」 「…颯くんも顔色悪かったわ…大丈夫かしら」 「会ったの?」 「さっき来たのよ。お裾分けってお菓子頂いたの」 「母さん」 「…」 「颯が顔色悪かったのって俺のせいかもしれない…バレちゃったの。俺の気持ちが颯に。颯は俺にそういう目で見られていたのが嫌だったんだろう。だからだと思う…この家に来るのも苦痛なんだろうね…」 「…焔。もう一度颯くんと話してきなさい。あなたたちもっとわかり合わないとならないと思う」 「…もう…遅いかもね…」 「…焔。」 これ以上は話したくなくて急いでバスルームに向かった。 まだ暖かくならない冷たいシャワーを頭からかけた。もう…どうすればいいんだよ…俺がもっとうまく隠していればよかった…颯のこと早い段階で諦めていればよかった… 少しずつ暖かくなるにつれ涙が溢れて止めることができない…こんなに好きなのに…どうして俺じゃだめなの?…具合が悪くなるくらい嫌悪したの?…俺は…どうすればいい?颯…お前は離れないでと呟くけれど…でも…側にいても苦しめて…だったら…離れた方がいいんじゃないかな?… 「颯…」 颯を好きだから…だからこそ八重との付き合いを願われたとき断っていればよかったんだ…俺はお前がいいと…そしてその時点で目茶苦茶に嫌われて離れて…その方がきっとよかった…その方が颯は…勿論八重だって…あんなに泣かせることもしなくてよかったんだ… 「くそ…っ…くそ…」 最低なやつは俺だ…俺が…颯を好きにならなければ… 「颯…颯…」 見つめているだけで良かった。話せるだけで良かった…でもずっと一緒にいるに連れて…苦しくなって…それでも俺は…お前のことを思う気持ちは止められないんだ… ねぇ。この想いは貴方に届きますか? 届いたところで…結果は見えているのだけれど…

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