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第92話
八重が家に入ったのを確認してその場を立ち去る。ここにも何度も来ているはずなのに何だかあまり思い出せない…
「はぁ…何が変なんだろ…わかんない…」
少し歩いたら雰囲気の良さそうな喫茶店があったので落ち着くために少し寄ることにした
「いらっしゃいま…あ…。満留」
「光藤だぁ!ここでバイト?」
「ここ俺のじいちゃんの店なんだ。今ちょっと買い出しいってるからその時間だけ手伝い。」
「そうなんだ」
「八重を送ってきたの?」
「ん…八重に悲しそうな顔させちゃった」
「…お前本当に忘れてんの?」
「忘れてる?」
「…お前と颯は幼馴染みで昔からお前は颯が好きで…八重と付き合ったのは颯に言われたから…でも八重じゃお前不能で…結局別れて…」
「…わからない…そもそも颯と幼馴染というのがわからない。俺の中で颯は昨日初めてあった人で…何でかな…」
「…写真とかみてみたら?一緒に写ってたりしたら何か思い出すんじゃない。八重とは別れた方がいい」
「でも…俺は…八重のこと好きだよ?昔から好きで…あれ?」
「昔からって…お前が八重を認識したのは一月前だぞ」
「…」
「出会ったのは確かに随分と前だが…でもお前は覚えていなかった」
「…八重が可愛い…好き…」
「…お前がそれでいいならいいけどさ…でも…」
「…ありがとう…でも実際今は八重が好きだから…少しだけ…様子を…」
「八重が傷ついていても側にいれるの?」
「傷ついて…」
「悲しそうな顔させたんだろ?」
「…うん」
「…それに…颯も苦しんでる。俺ね別れたけどやっぱり颯のこと好きなんだ…だから…また奪ってもいい?お前が八重を好きならいいよね?」
「颯と付き合ってた?」
「そうだよ。たった一ヶ月だったけど俺にとっては大切な時間だった…颯は…違ったけど」
「違った?」
「…颯はね多分無意識にお前に惚れてたんだよ。だから俺と付き合った」
「意味がわからない」
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