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第99話
他愛ない話をしながら気付けば颯の家の前だった。
「颯」
「なんですか?」
「俺やっぱり一度家に戻ってくるね。着替えてくる。んでアメリアさんが好きなお菓子が家にあったから持ってくるね」
「わかりました。では後程」
「うん」
この時間家には誰もいない。俺が眠り続けていた間、母も父も休みを取ってくれていたので暫くは二人とも忙しいようだ。
自室に戻り着替えてもう一度アルバムを手にする。
颯も俺も笑顔は少ないが信頼しあってる感は伝わってくる。隠し撮りみたいに撮られた写真たちの俺の目線は必ず颯に向いてる。本当に大切で大好きだったんだろうな…
まだあどけない俺たちの姿。それをそっと撫でる
「颯…」
アルバムを棚に仕舞って颯の家に向かう。
「いらっしゃい。焔くん。良かった。顔色良くなったね」
「心配かけてごめんなさい。これ。アメリアさん好きでしたよね?」
「えぇ。ありがとう!」
「ほっむっらっくーん!!!」
「うわぁ!!お久しぶりです頼さん」
スキップしそうな勢いでやって来て抱きついてきた頼さん。相変わらずだ
「よかったぁ!!目覚めたんだねぇ!!もう!!心配したんだからね!!」
「すいません」
「ふふふ…頼さんたら…焔くんびっくりしちゃってるよ」
「ごめんね」
「いいえ」
「…何だか…今の焔君と頼さん似てる。焔くんは昔からずっとしっかりした大人みたいな子だったのに目が覚めてから子供みたいに可愛らしくなったから。どちらの焔くんも好きだけどどこかで見たことあると思ったら…ふふっ…頼さんだ」
「へ?」
「うわぁ!そうなの?ふふふ…これはもう諦めて俺の息子になろー!なろー」
「いやいや。俺親いますから」
「知ってる!でもさでもさ!颯のお嫁さんになったらいいじゃん!!」
「え…えと…あの…」
「だって颯くんのこと好きでしょ?」
「…あの…頼さん…俺…颯のことだけ…思い出せないでいるんです…」
「どゆこと?」
今の状態を話したら自分のことのようにポロポロと涙を流し始め頭を撫でた
「そうなんだねぇ…よしよぉし…」
「ちょっと!父さん。早く焔返してよ」
「あ!颯くん…えと…」
「大丈夫。知ってるから。」
「そっか…でも!!うちの息子にするの諦めないんだからね!焔くん。うちの可愛い可愛い颯くんを任せられるのは焔くんだけなんだから!」
「もう!いいから。焔ごめんね。部屋行こ」
「あ。うん!お邪魔します」
「あ!ねぇ。颯くん」
「何?」
「皆でまずお茶しよ?ダメかな?焔くんとお話ししたいし。ねぇ…ダメ?颯くん」
「んもう…仕方ないなぁ…いい?焔」
「勿論!」
「うわーい!俺お茶いれる!みんな座ってて」
「はいはい」
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