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第101話
颯の部屋に来た。
「颯ぇ」
「何です?」
「ぎゅってしていい?」
「どうぞ」
「ぎゅー!!颯ぇ颯ぇ」
「もう…仕方ない人ですね。ねぇ。焔」
「ん?」
「…何でもないです」
「っ…可愛い…真っ赤だよ?」
「煩いです」
「…颯…ごめんね。俺…」
「何を謝るんです?今こうして隣にいてくれているのでそれでいいんですよ。沢山甘えていいんです。俺はこれまで沢山甘えてきたのですから今度は俺が焔を甘やかす番です。役得ですね」
「ありがと」
「…取り敢えず…座りませんか?」
「あ。うん!」
「ここ…おいで。焔」
「颯」
「膝枕。しますよ…あ。いらないです?」
「いる!いるよぉ」
颯の腰に手を回して薄い腹に顔を埋める。俺の頭を優しく撫でる颯の柔らかい手。目を閉じて颯の香りを一杯に吸い込んだ。
颯…ねぇ…大好き…まだ伝えられないけど…大好きだよ…
前の俺はどのくらい颯のことが好きだった?
きっとこんな想いだけでは足りないんだろうね。
だってうちの両親も颯の両親もわかるほど好きだったんでしょ?
何で…忘れちゃったんだろう…
「焔…そんな苦しそうにしないで。大丈夫だっていってるじゃないですか」
「ん…でも…颯…俺は…」
「…そうですねぇ…今貴方は俺のこと好きです?」
「うん。好き…けど」
「良かった。好きの形はどうあれそれが嬉しいんです。」
颯がどんな顔してるのか気になりそっと見上げると本当に幸せそうに笑ってた。
「天使みたい」
「…それも久しぶりに言われました…ふふ…」
「そうなの?」
「えぇ。」
ねぇ。颯…俺は…
「ほら。また余計なこと考えようとしてる。今の俺では不満ですか?昔の方がいいの?俺はここにいるのに」
「違うよ!全部ぜーんぶいいの。俺は欲張りだから」
「ちゃんと今の俺を見て。」
「ごめん」
「いいえ。焔」
膝の上で転がる俺の頬に颯がキスしてくれた
「顔…りんごみたいです。あまり見たことがないので新しい発見が一杯で楽しいですよ。俺は俺を知ってる焔も知らない焔もやっぱり好きですね。」
「颯…可愛い…」
自分からキスしたくせに真っ赤になってる颯はとっても可愛い。体を起こして颯の隣に座り直す。
颯に触れたくて触れたくてたまらない…
「ねぇ。触りたい…」
「いいですよ」
体だけだと思われていないかな?でも欲しくて欲しくて堪らないんだ…
そうして二度目の行為に明け暮れて疲れて眠る颯の綺麗な体を眺める。
本当に…舞い降りてきた天使みたいなとても綺麗な人…
この人を今、俺は抱いていたんだ。前の俺も抱いてた?俺の記憶の中に初めての時の記録はない。初めての相手は八重だった?それとも昨日のが初めてだった?もしそうなら俺はとても幸せ者だ…八重には申し訳ないけれど俺の初めてを颯にあげられていたのなら幸せだ
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