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第104話
颯side
焔は記憶をなくしてから欲望に忠実だ。
幼くなってしまった焔。きっと沢山沢山気持ちを圧し殺してきたのが記憶をなくしたことでタガが外れてしまったのだろう。
ということはきっと焔はずっとずっと長いこと俺を求めてくれていたってこと…沢山甘えたかったってこと…
記憶をなくしたからって嫌なことばかりじゃなかった。焔の本当の姿が見られるのだ。逆に良かったのかもしれない。
ただこれは俺が焔への思いを自覚したからであって以前の俺なら焔を無意識に避けてしまったのかもしれない。
これは俺と焔へのプレゼントなのかもしれない…互いの思いを自覚しろと言う思し召し…きっと…洸哉さんからの贈り物だと…そう思いたい
焔が可愛くて堪らない…あぁ。好きだ…全身で感じるこの暖かい思い…もっと早くに気がつくべきだった。きっと出会った頃から焔への思いを持っていたはずなのに…
洸哉さんのことを好きだと思い始めたのは…
今でも覚えてるのは…焔があの頃とてもよくモテていたということ。俺が焔から少しでも離れると他の男も女も焔へ己を認識してもらうために必死だった姿を遠目で見ていたこと。
そんなとき洸哉さんが声をかけてくれた。光哉さんにとってはただの気まぐれだったのかもしれない。
でもそれが何度も続くと焔が声をかけられていようが気にならなくなっていった。そのとき焔への依存は洸哉さんへと移りそして洸哉さんを心底愛するようになった。
でも…それってやっぱり焔を意識していたからかもしれない…。
洸哉さんのことが本当に好きだった。
それは俺の本当の思いだったかな?もしかしたら違う思いだったのかもしれない…
どうしよう…洸哉さんの大切な大切な時間を俺が奪ってしまったかもしれない…
でもあの頃は洸哉さんが俺にとっては必要だった…ねぇ。洸哉さん…俺は…
「はーやて!!どした?ぼーっとして」
「あ。すいません。少し考え事を」
「俺と二人きり…嫌?だったらうちに行く?」
不安そうに問いかける焔に笑いかける。
「いいえ。嬉しいですよ。そんな顔しないで」
「ん…」
焔は俺のところに来てぎゅっと俺を抱き締めて俺の匂いを堪能しているようだ。変態臭いがそれも嬉しかったりする。
すりすりと俺の肩に額を擦り付けながら次第に息が上がっていく。
焔は変態だ…やっぱり変態…そんな焔に欲情してる俺も結局変わらない
「ごめん…元気になっちゃった…」
「お風呂…一緒に入りましょうか」
「うん!」
「その前に大二郎さんに連絡してあげてください」
「うん!!待ってて」
大型犬?俺になついて尻尾振ってる…そう見えるくらい嬉しそう
幼い焔…可愛い焔…俺もどうかしたみたい
電話を掛けてにこにこ笑いながら戻ってくると俺を抱き上げた
「ちょ…危ない…」
「もう…我慢…出来ない」
掠れたような声…俺に欲情する声…あぁ…もう…どうにでもして…
「颯も…反応してる…」
くすりと笑いながら俺の中心部を撫で上げる。思わず甘い吐息が溢れる…
「ねぇ…颯…お風呂前に…もう一度…いい?」
「はい…俺も…我慢できそうにない…」
そのままリビングのソファで致してから風呂でもそして上がったあと部屋で…何度も何度も欲を放つ焔は壮絶な色気を纏っていて何度果てても終わりを忘れたように熱は覚めなくて…互いに意識が途切れるまで貪り合い気がついた頃にはもう朝だった。
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