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第105話
やっちゃったぁ…またもややり過ぎてしまった…
だって颯は何度食べても食べても美味しくて…ずっと食べていたいから…
あぁ…もう…大好きだよ…颯
まだ目覚めない颯をギュッと抱き締める。颯は朝が弱いようで何しても暫くは起きてこない。
布団を捲って颯の体を頭の先から爪先までじっと舐めるように見つめて最後に額にキスをした。
「んん…」
「おはよ。颯」
「焔…寒い…お布団…返して…」
「ごめんね。でも起きないと。学校遅れちゃうよ」
「ん…わかった…お洋服…取って…」
「うん。」
寝ぼけ眼の颯はとっても可愛い…ぼーっとしながら着替えてる。そして俺の胸に顔を埋めてきた
「着替えた…焔…制服…取りに…いかないと…ご飯食べよ…」
「うん。先に顔洗おっか」
「ん…」
いつもこんなに朝が弱いんだろうか?前の俺はこの事知っているのだろうか?
知らなきゃいいのに…自分自身に嫉妬しても仕方ないけれど
朝の準備が進んで行くにつれ覚醒していく颯。
「お待たせしました」
「あ。いつもの颯」
「何です?」
「ううん。さっきの颯のままだったら危ないって思ってたからほっとしたの」
「は?」
「可愛かった…」
「っ…すいません…お見苦しいところを…」
「ううん。可愛かった。可愛い…」
「あぁ!もう!あまり言わないで下さい!!」
「あ!また真っ赤になった。ふふふ…可愛いなぁ…もう」
「ちょっと!そんなにきつく抱き締めないでください!苦しいですって」
真っ赤になりながら身を捩る颯をぎゅうぎゅうに抱き締めながら耳元で囁く…ねぇ…颯…
「ねぇ。颯…この姿…前の俺も知ってる?」
「…どうなんでしょう。前の焔はあまりそういったことは言わない人だったので…寝起きが悪いとは言っていましたけど…」
「やっぱ知ってるのかぁ…残念。」
「…自分に妬いてるの?変な人ですね。じゃあいいこと?かはわからないけれどお教えします。俺とあの…昨日みたいなこと…前の焔はしてませんよ。焔は常に俺と距離を取っていたから。」
「そうなの?あんなに心地いい颯の体を知らないの?」
「ちょ…言い方…」
「ふふ…そっか…そっかぁ…嬉しい…でも記憶戻ったら悔しがりそ」
「どちらもあなたですよ」
「そだね。うん。そうだよね」
「焔…時間…きちゃいます。昨日の残りと…簡単なものでいいです?」
「作ってくれるの?嬉しい!!ありがとう」
颯の手料理は暖かくてアメリアさんの作る味と同じだ。
一旦帰宅して着替える間颯は待っていてくれた。
「焔」
「母さん。おはよ。」
「颯くんと仲良くしてるみたいでよかった」
「うん!颯が待ってるから学校いくね。行ってきます」
「いってらっしゃい。気を付けるのよ」
「はぁい!あ!父さん!!」
「何だ?」
「昨日のご飯すっごく美味しかったよ。ごちそうさまでした!お皿たちは学校終わったら颯のとこに取りに行ってくるからね」
「おぅ。いってらっしゃい。気を付けてな」
「はぁい!」
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