107 / 124
第107話
頼&アメリアside
「ねぇ。リアチャン」
「ん?」
「焔くん…本当に…記憶ないんだね…颯のだけ」
「えぇ…でもね、頼さん。それでよかった気がするの。だって…颯が自分の思いに気が付いたから」
「そうだね。それもそうかもしれないね…二人が幸せならばそれでいい…あ。ねぇ。あのさ」
「ん?」
「今夜二人にしてあげない?俺たちが家にいたら話したいことも話せないかもしれないし」
「でも…」
「…きっと大丈夫だよ。焔くんの忘れてしまった記憶のどこかに颯を守らなきゃっていう想いはあるはずだから。颯には怒られそうだけどね。勝手な親だなって…きっとね、今は二人きりで過ごす時間を沢山増やしてあげないとならない期間だと思うの。まだ未成年のあの子達を家に置いておくのは親としてどうかしてるとは思う。でも…今日は…」
「…わかった…」
「うん。俺たちは近くのビジホにでも泊まろ。それか…少しだけ遠出してお泊まりか。今日は平日だからどこも混んでないはずだよ…あ!ねぇ。ほら…うん。ここに行こうか」
「任せるわ」
たまたま見かけたパンフレットを手にとって颯に連絡をする。もちろん叱られたけどそれでも今は二人で過ごしてもらった方がいい気がするんだ
「焔くん泊まってくれるって」
「良かった…」
その場でパンフレットに載っている宿に連絡したら今日たまたまキャンセルが入ったみたいで泊まれるよう。わざわざ迎えにも来てくれるみたいで到着するまでの時間をゆっくり過ごした。
「これまでどこにも連れていってあげられなくてごめんね」
「いいの。頼さんが忙しいのは元々知ってたしそれでも私はあなたと一緒にいたかったから。颯もいてくれたし嫌だと思ったことはなかったわ。ここにこられて良かった。焔くんたちに会えて良かった…」
ともだちにシェアしよう!