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第111話

「…っ!かぁわいい!!」 「は?」 「ごめん。凄く…嬉しい…意地悪なこといってごめんね…颯にそういってもらえて…嬉しい…俺ね…自信がないんだ…きっとさ…前の俺は颯をとてもとても大切にしてた。何より颯を一番に思い行動してた…でも俺は…俺の欲望のままに動いちゃう…手を繋いだり…抱き締めたり…それ以上のことも…だからね…こんなに思いやりのない俺なんて…颯には不釣り合いだって…そう思ったら…どうしようもなくなって…」 「そういうのがぐるぐるしてしまって…倒れてしまったのです?」 「ん…俺…やっぱり思い出したいよ…颯の事…」 「焔…」 「でも…失ってしまったものは…取り返すの難しいよね…何か切っ掛けがあれば…もしかすると…でも…きっかけって…」 「ねぇ。私の存在忘れてない?お二人で仲良しなのはいいのだけれど…」 母がにこにこ笑いながら言ってきた 「「あ!!」」 「んもう…こっちが照れちゃうくらい仲良しね。それでいいんじゃないの?切っ掛けなんていつ訪れるかわからないんだし。焔。少しだけ低めの声意識して好きだって颯くんにいってみて?」 「へ?」 「みたい」 「俺見世物じゃないよ?」 「いってみてよぉ」 「う…恥ずかしい…でも…わかった…」 颯と向かい合い両手をギュッと握る。颯を見つめ静かに目を閉じて深呼吸する。緊張しちゃうけど…よし…ふーっ…颯の色素の薄い瞳から目をそらさず… 「好きだ…。颯…お前が好きだ。」 体の奥の奥からどくどくっと血が滾るような感覚…あれ?これ…知ってる気がする… 「ほむら…っ…」 颯の頬が真っ赤に染まる。 あぁ…きっとこんな感じでいつも固い物言いだったんだ…大人なふりして思いを秘めてたんだな…颯がいつもと違う視線をこちらに寄越しているから… 1つ何か見えた気がした。好きだから…離れたくなくて…だから…伝えなかった…大きな大きな思い… 「…私までドキドキした…我が子ながら男前ね。焔」 「あーっ!もう!恥ずかしいよぉ」 「でも…思いを乗せて伝えてみてどうだった?」 「…颯が欲しい…颯と離れたくない…ずっと一緒にいたい…誰にも…渡したくない…だから…颯…中途半端な俺だけど…隣に…いてくれますか?」 「ふふ…似たようなこと聞きましたよ…でも…違いますね…とても…幸せです…」 「颯…もう一度伝えていい?」 「はい…」 「お前が…好きだ…」 「っ…焔…」 「お前は俺の隣にいろ。俺だけ見てろ…」 「はい…」 「ふーっ…緊張した…前の俺ってこんなにいつも固いの?」 「そうですね…いつも硬派でした」 「あぅ…だから…みんな…変な顔するんだねぇ…」 「だから困ってます…だって…焔を狙う人もっともっと増えたから…今の焔は壁がないのでみんないけると…思ってるんですよね…前は…自分で言うのもなんですが俺だけを見ていたみたいだから…みんな遠巻きに見ているだけだったのですが…」 そういえばよく回りから声をかけられるようになった気がしていたけど…そういうことかぁ… 「よしっ!これからはキリッと出来るように頑張る!颯を不安にさせたくないもん」 「ははっ!助かりますが無理はきついですよ。」 「いいの。俺我慢するのは得意だったんでしょ?やってみるの!」 「頑張らないでいいです。ただ貴方は俺の隣で笑っていて…俺だけを見てて?」 「…っ…熱烈ぅ…好き…大好き!」

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