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第113話
「毎日…がっついてごめんね」
「ううん…大丈夫…とても幸せだから…」
嬉しそうに微笑むからそっと抱き締めて髪を撫でた
「ねぇ。颯…俺もね凄く幸せだよ。颯とこうして一緒に過ごせることがとても…ねぇ…この想い届くかなぁ?」
「届いていますよ…」
「あ。ねぇ。ずっと聞きたかったんだけど…その…ネックレス…」
「これですか?…焔も貰っていますよ…これは俺の大切な人が用意してくれたものなんです。焔はクローゼットにしまってるって言ってましたよ」
「クローゼット?」
「はい」
「何かあったかな?」
久しぶりにクローゼットの中を漁る。一番奥にひっそりとしまってあったのは小さな箱だった
「これ…かな?」
箱を出して颯のところへ戻り開ける。
「これ…」
「ブレスレットです。プレートの裏に刻印がしてあるんです」
「裏?」
「はい」
言われて裏を見てみると小さく刻印されていた
「I trust you…?何?信じています?…何を?」
「…俺を焔に託すと言う意味で掘られたんだと思う…とその人のお兄さんがいっていました」
「お兄さん?」
「えぇ…焔。中学の時の七雲先生は覚えていますか?」
「うん!すっごくいい先生だったよね。カッコいいし授業わかりやすいし」
「中学時代俺は彼と付き合ってました。」
その記憶はない…やはり颯に関係することは覚えていないのだ
「彼とは交際して一年ほどでお別れをしたのですが…お別れした後に…彼亡くなっていて…」
「え?」
「去年焔がたまたま七雲先生のお兄さんの奥さんにばったり会ってそのとき教えてくれたんです…その時…このネックレスとそのブレスレットをお兄さんが俺たちに託してくれた」
「ごめんね…やっぱりわかんないや」
「そうですよね。俺ね今回のことって七雲先生が仕組んだんじゃないかって思ってるんですよね。俺に俺自身の想いを気付かせるために」
「そうだと…いいね。ちゃんと颯の手を掴みましたよって…報告しにいかなきゃ…連絡先とかわかるの?」
「貴方が知っているはずですよ」
そう言われて自分のスマホの電話帳を開く。
「あった…これだね」
「そうです」
「…掛けてみる」
「はい」
颯と手を繋ぎながら通話ボタンをタップする。数回鳴った後相手が出た
『もしもし。焔くん。久しぶりだね。』
七雲先生と同じ声だ…
「あ…あの…もしもし…えっと…」
あたふたしてると颯が代わってくれた
「もしもし。お久しぶりです。颯です」
『久しぶり。どうしたの?』
颯が今の俺たちの状態を説明してくれた。そして
「もう一度…洸哉さんに…会いに行ってもいいですか?」
そして次の休みの日に克哉さんとえみりさんに会うことになった
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