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第117話
軽く食事をとり今日も克哉さんが送ってくれることになってる
俺たちだけで大丈夫というけれど立地的に俺たちだけでいくのは結構大変だからってことで甘えさせてもらっている。
俺たちがお参りしている間は車で待機してくれるんだって
先生は海の見える小高い山の上に眠ってる。先生は海が好きでここから見える海は颯とも一緒にいったことのある海らしい。
克哉さんとえみりさんに聞いたけれど先生は生まれてからその生命を終えるまでに愛したのはたった一人でそれが颯。
世間から認められない関係だとわかっていた。けれど…その想いを止められなくて…とても愛していたんだそうだ…
そんなに大切な颯を俺にしか託したくないって…俺は先生にとってどんな存在だった?
俺は…先生の知ってる俺じゃない…これって…先生怒ってない?
先生…ごめんね…大切な大切な颯のこと…忘れちゃって…ごめんね…強い俺じゃなくって…
「先生…」
「焔。俺ね…凄く最低なんです」
突然そう切り出した颯の次の言葉を待った
「俺…あのときは洸哉さんしかいない。俺が唯一必要なのは洸哉さんだけ。そう思って疑わないほど愛していたと自負してました…でも…そのきっかけになったのは焔。貴方が好きだったからかもしれません。あの頃の貴方は今ほどではないけれど誰にでも優しい人でした。そのせいか今よりもっと人気があったんです。」
「中学生の時?確かに何かわかんないけど沢山の人きてたね。あれモテてたの?」
「自分のことに関しては無自覚なのは変わりませんね。そうですよ。何人も俺のところにきてはあなたと自分がうまくいくために協力して欲しいといいに来ました。それが毎日続くと俺も疲弊してしまってつい逃げたくなった…そんなときたまたま洸哉さんが来てくれたんです…あの頃は自分では気付かなかったけれど酷い顔をしていたそうで構ってくれたんですよね。そしたら焔のことお願いしてくる人もいなくなってとても楽になれたんです。先生に言われたことがあるんです。焔のこと好きだろって…」
颯side
「三葉。今日も酷い顔してるけど大丈夫なの?」
「先生…何なんですかね?焔とうまくいきたければ自分で努力するしかないのに俺のところに来るなんて」
「そりゃあ満留が三葉を好きだからだろ?」
「意味がわかりません」
「ん~…結局さ皆お前に勝てる自信はないのよ。だから近くにいる三葉に協力してもらった方がいいと思っているんだろう。あいつの好きなのはお前で誰よりも大切にしているのもお前だし…それに…お前も満留のこと好きだろ?二人並んでいる姿はとてもお似合いで睦まじいし」
「好きですよ。幼馴染みですから」
「じゃなくて、恋愛的な意味で」
「え?だって俺たち男同士ですよ?そんなはず…」
「そうか…まぁどうしようもなくなったら俺が話し聞くからいつでもおいで」
そう笑って頭を撫でてくれたときから俺は洸哉さんを見つめ始めた。
男同士で付き合うとかその頃は全くわからなかったけどそんな恋愛もあるのなら…それなら相手は優しくてカッコいい洸哉さんがいい…
そう思い始めてからは俺は洸哉さんのことが好きだと焔への想いを気付かないままに雛鳥のように洸哉さんを追いかけた。
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