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第119話

きっと覚えている俺なら颯のことちゃんと見えているのに 颯はきっと真っ直ぐに先生を思っていたと思う。 俺のこと好きで…それを気付かずに悶々としながら過ごしててそんなとき側にいてくれた先生を愛した。 俺のこと好きだから悩んだ…でも俺のことを好きでいてくれたから先生を愛した。人の心ってわけわかんない。けどきっとそれも今こうしているためには必要なことだったんだろう。 やっと受け入れることができる。先に進むことができる。 記憶のある俺に嫉妬しなくなる。そんな気がしたんだ 「冷えてきたし行こっか」 「はい。先生。またね」 そっと墓石を撫でて颯は俺の手をとる。手を繋いで克哉さんたちのところへ戻った。 「おかえりなさい」 「おかえり。二人とも」 「克哉さん。また来てもいいですか?先生に会いに」 「勿論だよ。そのときはまた教えて?」 「はい」 「あの…我儘次いでに恐縮ですが…海へ…先生が好きだった海へ行きたいです」 「いいよ。乗って」 車の中ではそうちゃんがすやすやと気持ち良さそうに眠ってた。 その寝顔に笑みがこぼれた。 「そうちゃん寝ちゃったんですね」 「一緒にいきたいって聞かなくて…なだめるの大変だったのよ。二人が大好きみたい」 「やっぱりこの子は洸哉かもしれないね。洸哉は君たちを大切にしてたから」 「ふふ…そうだといいな」 眠るそうちゃんを撫でてシートに沈む。これから颯と先生の思い出の場所へ行くんだ…颯が愛した先生の好きだった場所へ ほんの少しだけど俺は颯の手を握ったまま眠っていたみたい…目が覚めたらそこは海だった 「うわぁ…海…」 シーズンではないからか人はとても少なかった。お散歩中の人が数名と小さな子供を連れた人がお城?を作ってる。多分そうちゃんくらいかな?可愛い 浜辺を颯と手を繋いでゆっくりと歩く。 「こうやって手を繋いでここを歩いたの?」 「ううん。外で手を繋いだことないんです。立場的な問題とかもあったので。車の中ではずっと手を繋いでいましたけど。ここからもう少し行くと周りから死角になっている場所があってそこまでは繋ぎませんでした。その場所から海に沈む夕日を眺めるのが好きでした。キラキラ光ってとても美しかった。そこでまぁ色々ね」 「うわぁ…妬けるぅ。俺もする」 「じゃあ行きましょうか」 その場所は言われた通り死角になってて潮の加減からなのか小さな砂浜になってた。 「夕日の時間はまだまだですけど…」 そういいながら颯は体の向きを変えて俺にキスしてくれた 「こんなことしてたの?」 「えぇ…」 「エッチもした?」 「あぁ…ははっ…」 「する?」 「え?」

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