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第121話

颯side 「焔…。お願い…目を開けて…」 さっきまで愛し合ってたはずの人が今体中が凍えて動かない… 一瞬のことだった。沖で何かがバタバタともがいていてそれは小さな子供だとわかった。途端走り出した焔を止めることができず言われた通りに動くしかなかった。 …あの子の親だと思われる人はパニックで青ざめて発狂してた。 それをお散歩中だった人が必死に止めてた。ワンちゃんはそれをしている飼い主の回りをおろおろと走り回って吠えていた。 騒動に気づいた克哉さんが各所に連絡してくれた。 焔は必死でその子を引っ張って懸命に泳いでる。 姿が見えてほっとしたその時救急隊が到着した。 唇の青ざめた小さな子供を手当てしていって… 焔を見ると安堵したように微笑んでそのまま目を閉じた 「焔!焔!!ねぇ!ねぇ!!」 冷たくなった焔を抱き締めることしかできない。 焔!!だめ!目を開けてよ!! 数日眠っていて体力は前みたいに戻ってない…さっきまで致していたことでさらに体力は削られてたはずだ… 「焔!!お願い…お願いだから目を開けてよ!!焔!!」 その後焔も病院へ運ばれて今もまだ目を覚まさない 「焔…俺が海にいこうなんて言わなきゃ…焔…。」 連絡を受けた昌子さんと大二郎さんもやって来た。うちの両親も一緒に 「ごめんなさい。俺が海にいこうなんて言わなきゃ…」 「大丈夫よ。颯くん。焔よ?大丈夫に決まってる…だってほら。顔色良くなってきてるでしょ?」 「でも!」 「大丈夫だ。颯くん。子供さんはたいしたことなかったみたいだ。親として誇らしい」 「でも!!そんなの焔は?焔には何の利益もないじゃない!」 「焔がそんなの考えてると思う?」 「思わない…けど…」 「颯ぇ…」 その時焔が細い声で俺を呼んだ 「焔!!」 思わず抱きついた俺の背中を弱々しくとんとんとしてくれた 「ごめんねぇ…心配…かけちゃったね…あの子は?大丈夫?」 「焔ぁ…よかったぁ…焔…焔…」 「あの子は大したことなかったみたいだよ。今夜一晩入院したらもう帰れるみたいだ」 「父さん?母さんも。わざわざ来てくれたの?」 「そりゃあ来るだろう!良かった」 「克哉さんたちは?」 「今廊下に…」 「克哉さんが各所に連絡してくれたんです…」 「お礼を言わないとな」 ドアの外にいる克哉さんに大二郎さんが声をかけた。直ぐに来てくれた克哉さんはほっとしたように微笑んだ 「焔くん!良かった!目が覚めたんだね」 「えみりさんとそうちゃんは?」 「先に返したよ」 「そっか。えみりさんにももう大丈夫って伝えてください」 そのあと先生や看護師さんが来て念のため焔は入院することになった。

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