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第122話

「皆帰った?」 「はい。かなり無理を言って俺がここに泊めてもらえることになりました」 本当は付き添いでの泊まりはダメみたいなんだけど颯が交渉して泊まってくれることになった。 俺が使わせて貰う部屋は元々二人部屋でベッドが置いてある。 そこに颯が横になってる 「遠い…こっち来てよ」 「はい」 そういうと颯が俺の側に来てくれた。その颯をベッドに引きずり込んで抱き締めた 「んな!どこにそんな体力隠してたんですか?」 「颯ぇ…ごめんね。心配させて」 颯の震える唇に俺のを重ねる。 「本当に…あなたは…」 「なぁ。颯」 「はい」 「夢じゃない?」 「何をいっているんです?」 「お前が俺の腕の中にいるの…夢じゃない?」 「焔?あなた…まさか…」 「俺が…お前を求めてもいい?俺の想い…届いた?」 「焔っ…。」 颯が今度は深い口付けを返してくれる。クチュクチュと厭らしい音を立てながら俺の口の中を蹂躙する 「っん…颯っ…」 「焔っ」 「泣くなよ…ごめんな…忘れてて…」 「焔…」 「なぁ…情けない俺も愛してくれる?」 「当たり前じゃないですか!」 「どっちの俺が好き?」 「どっちもです。」 「即答?」 「当然です。あなたは違うのですか?」 「違わない。俺はお前だけを愛し続けている。今までも…これからもな」 そうなのだ。眠っている間に走馬灯のように映像が駆け巡ってきた。誰かが操作したみたいにからからと映像が開かれていく。そしてたった今ふっと頭の中の靄が晴れて全てが見えたのだ。両親たちがいたときにはまだ霞がかっていたのだけど隣のベッドで横になり微笑む颯の姿をみてぱーっと晴れたのだ。やはり先生のお陰だったのだろうか? 棚にそっと置いてあるブレスレットをみて再度視線を戻す。颯の瞳には何とも言えない色で… 「焔…俺の想いは…届いていますか?」 「あぁ…届いてる…颯…好きだ…これからも一緒にいてくれ…」 「はい!」 「お前が俺に向ける笑顔すげー嬉しいな…」 「焔は俺にだけ笑いかけてください。あなたの笑顔は凶器です。皆があなたに心を奪われるから隙を見せないで…かなり今危ういんですからね」 「ふっ…わかったよ」 「焔…もう一度キスしてもいいですか?」 「いちいち聞くなよ…」 颯の唇に重ねた俺のは震えてて…凄く…暖かかった。 「抱きたい…」 「焔…」 「…なんてな。ここは病院だから我慢するよ。場所を弁え無さ過ぎだしね。ごめんな」 「明日…退院したら…また一緒に過ごしましょうね」 本当はダメだけど颯を離したくなくてそのまま眠りについた。 早めに起きた颯は朝から頬を染めていそいそと隣のベッドへ移っていった。 「なぁ…颯」 「はい」 「好きだよ」 「俺も、焔が好きです」 言いながら頬を染める颯の姿につられて俺も赤くなっているだろう そして検査が終わった頃両親と克哉さんとえみりさんがやって来た。そして… 「昨日はありがとうございました」 深々と頭を下げるその人は小さな子供の手を引いていた

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