12 / 23

第12話

「小林のを咥えて反応してるんだ。男のくせに……オトコのを咥えて。淫乱でホモなわけ。弁護士のくせに」 「なんで、それを……」  盗聴器は美鈴さんの私物じゃ……。 「秘書が盗聴しているのは知っていたからな。それを利用した。あいつ……絶対に、何かを隠してる。美作にシニアにしろと脅せる内容、をな」 「それを……盗聴で?」  ネタになりそうなものを聞いて探してる、だと? 「まさか……男が男を咥える音が聞こえるとは。気持ちいいのか? さらに硬さを増したが?」 「いいわけないだろ! 離せっ」 「こっちに来い。バレたくはないだろ?」  腕を掴まれると、僕は引き摺られるように引っ張られた。こぼれそうになるコーヒーを、慌ててテーブルに置いたが、手の平に熱湯がかかり熱くて痛かった。 男子トイレの個室に連れこまれて、ズボンとパンツを下ろされる。抵抗するたびに、片手に持っているスマホの再生ボタンを押して、耳に押し付けられた。 「この音声、美作に送りつけてお前らをクビにしてもらおうか? それとも小野寺議員に送りつける? 声を聞けばわかるよな? 息子が男のナニを咥えてるかって。しかも咥えてる相手が議員の顧問弁護士だったってわかったら?」  くそっ。僕が抵抗できないように脅してきて。麗香さんだけなら……僕たちの関係を知っているからどうにかなる可能性があるのに。  父まで引き合いに出して。僕がただの淫乱で済むならいい。もともと家での評価いいほうじゃないから。でも……小林まで闇に引きずり込むのは許せない。 「……僕にどうしろ、と」 「とりあえず脱げ」 「なん……で?」 「いいの? 送るけど?」  こんな狭い個室で、男と二人きり。全裸になれと? 半勃ちしている状態をさらせと?  くそっ。小林には迷惑はかけられない。  僕はスーツの上着を脱ぐと、ネクタイを緩めた。ワイシャツのボタンを外していき、上半身裸になった。パンツとズボンはとっくにおろされ、脛のところでまるまって止まっているから……ほぼ全裸だ。  恥ずかしいという気持ちよりも悔しくて、腹立たしい。 「すごいキスマークだ。これが……小林の……」  ニヤニヤしながら、僕の首に触れる。スーッと指が滑り、鎖骨を通り胸にいく。赤く腫れあがった突起を見て、「へえ」と意味ありげに呟くと指先で弾かれた。 「んっ!」と口を閉じたままで、声が漏れた。まさか触られるとは思わなかった。  右の突起は口に含まれ、左は指で抓まれる。僕は口を手で押さえると、勝手に反応してしまう声を抑え込んだ。 「まるで女だな」  違うっ。僕は男だ。 「確かに男なら、妊娠しないもんな。中出ししても平気だ。お前みたいに中性的顔だちなら……悪くない。声も、女みたいだしな。それにお前は秘密を守りそうだもんな。女みたいにぎゃーぎゃー言わなそうだし。結婚だの、恋愛だのと騒がれずにすみそうだ」  ぐるっと僕は身体を回転させられて壁に押し付けられた。尻を掴まれて引き上げられると、いきなり大きいモノをねじ込まれた。ビリっと皮膚が裂ける痛みで涙が滲んだ。 「んーー! やめっ……痛い……いたっ……やだ……」 「嫌じゃないんだろ? これが好きなんだろ? 毎晩。小林のを咥え込んで離さないんだろ?」 「や……くそっ……出せ……やめ……」 「ああ、出してやるよ。お前の奥に、俺の精液をな」 「……やだっ、出すなっ……」  早まる律動に、太ももに何かが垂れる感触がある。今までにない痛みだった。裂ける感じもしたし……血が出たのかもしれない。 「これは病みつきになりそうだ……くっ、はあ」  佐藤の腰つきがゆっくりになるとずるりと引き出された。 「ちっ。血がつきやがって。ま、時々は相手しろよ? データは預かっておくから。断ったら……わかるよな?」  ピチャッと耳朶を舐めてから、個室の鍵を開けて出ていった。僕はすぐにドアに鍵を閉めると、唇を噛みしめて声をあげずに涙を流した。  最悪だ。小林以外の男と……。  尻の穴が痛くて熱い。僕の心と同様に悲鳴をあげているみたいだ。太ももに見れば血がついている。半勃ちだったはずの熱はすっかり小さくなっている。  これじゃあ……すぐに小林にバレる。穴に傷があれば……どういうことだ?ってなるじゃないか。僕が小林以外の男に足を広げたってすぐに……。  どうしたらいいんだ?

ともだちにシェアしよう!