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第12話
「小林のを咥えて反応してるんだ。男のくせに……オトコのを咥えて。淫乱でホモなわけ。弁護士のくせに」
「なんで、それを……」
盗聴器は美鈴さんの私物じゃ……。
「秘書が盗聴しているのは知っていたからな。それを利用した。あいつ……絶対に、何かを隠してる。美作にシニアにしろと脅せる内容、をな」
「それを……盗聴で?」
ネタになりそうなものを聞いて探してる、だと?
「まさか……男が男を咥える音が聞こえるとは。気持ちいいのか? さらに硬さを増したが?」
「いいわけないだろ! 離せっ」
「こっちに来い。バレたくはないだろ?」
腕を掴まれると、僕は引き摺られるように引っ張られた。こぼれそうになるコーヒーを、慌ててテーブルに置いたが、手の平に熱湯がかかり熱くて痛かった。
男子トイレの個室に連れこまれて、ズボンとパンツを下ろされる。抵抗するたびに、片手に持っているスマホの再生ボタンを押して、耳に押し付けられた。
「この音声、美作に送りつけてお前らをクビにしてもらおうか? それとも小野寺議員に送りつける? 声を聞けばわかるよな? 息子が男のナニを咥えてるかって。しかも咥えてる相手が議員の顧問弁護士だったってわかったら?」
くそっ。僕が抵抗できないように脅してきて。麗香さんだけなら……僕たちの関係を知っているからどうにかなる可能性があるのに。
父まで引き合いに出して。僕がただの淫乱で済むならいい。もともと家での評価いいほうじゃないから。でも……小林まで闇に引きずり込むのは許せない。
「……僕にどうしろ、と」
「とりあえず脱げ」
「なん……で?」
「いいの? 送るけど?」
こんな狭い個室で、男と二人きり。全裸になれと? 半勃ちしている状態をさらせと?
くそっ。小林には迷惑はかけられない。
僕はスーツの上着を脱ぐと、ネクタイを緩めた。ワイシャツのボタンを外していき、上半身裸になった。パンツとズボンはとっくにおろされ、脛のところでまるまって止まっているから……ほぼ全裸だ。
恥ずかしいという気持ちよりも悔しくて、腹立たしい。
「すごいキスマークだ。これが……小林の……」
ニヤニヤしながら、僕の首に触れる。スーッと指が滑り、鎖骨を通り胸にいく。赤く腫れあがった突起を見て、「へえ」と意味ありげに呟くと指先で弾かれた。
「んっ!」と口を閉じたままで、声が漏れた。まさか触られるとは思わなかった。
右の突起は口に含まれ、左は指で抓まれる。僕は口を手で押さえると、勝手に反応してしまう声を抑え込んだ。
「まるで女だな」
違うっ。僕は男だ。
「確かに男なら、妊娠しないもんな。中出ししても平気だ。お前みたいに中性的顔だちなら……悪くない。声も、女みたいだしな。それにお前は秘密を守りそうだもんな。女みたいにぎゃーぎゃー言わなそうだし。結婚だの、恋愛だのと騒がれずにすみそうだ」
ぐるっと僕は身体を回転させられて壁に押し付けられた。尻を掴まれて引き上げられると、いきなり大きいモノをねじ込まれた。ビリっと皮膚が裂ける痛みで涙が滲んだ。
「んーー! やめっ……痛い……いたっ……やだ……」
「嫌じゃないんだろ? これが好きなんだろ? 毎晩。小林のを咥え込んで離さないんだろ?」
「や……くそっ……出せ……やめ……」
「ああ、出してやるよ。お前の奥に、俺の精液をな」
「……やだっ、出すなっ……」
早まる律動に、太ももに何かが垂れる感触がある。今までにない痛みだった。裂ける感じもしたし……血が出たのかもしれない。
「これは病みつきになりそうだ……くっ、はあ」
佐藤の腰つきがゆっくりになるとずるりと引き出された。
「ちっ。血がつきやがって。ま、時々は相手しろよ? データは預かっておくから。断ったら……わかるよな?」
ピチャッと耳朶を舐めてから、個室の鍵を開けて出ていった。僕はすぐにドアに鍵を閉めると、唇を噛みしめて声をあげずに涙を流した。
最悪だ。小林以外の男と……。
尻の穴が痛くて熱い。僕の心と同様に悲鳴をあげているみたいだ。太ももに見れば血がついている。半勃ちだったはずの熱はすっかり小さくなっている。
これじゃあ……すぐに小林にバレる。穴に傷があれば……どういうことだ?ってなるじゃないか。僕が小林以外の男に足を広げたってすぐに……。
どうしたらいいんだ?
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