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第15話
―真弥side―
家に帰るなり、僕は全てを脱いで、全てを捨てた。血だらけの下着とズボンを見て、涙が溢れる。
僕は小林を裏切ってしまった。
裏切りたくないのに……。
入念にシャワーで身体を洗ってから、パジャマを着てベットに横になった。布団からふわっと小林の匂いがして、胸が痛くて呼吸困難にでもなりそうだ。罪悪感で息苦しい。
玄関のほうからドアが開く音がして、僕はびくっと肩が跳ね上がった。
帰ってきた……小林が。僕は布団をかぶると、瞼を閉じた。寝たふりをしよう……。
「マヤ? マヤ……って寝ちゃった?」
ベッドに腰をかけた小林が、布団から少しだけ出ている頭を撫でてきた。指先で毛先をクルっと巻き付けて遊んでいる。
「いい匂い。俺が使ってるボディスープの匂いがする」
ギシッとベッドが軋む音がして、僕の頭にチュッとキスが落ちてきた。
「……おやすみ、俺のマヤ」
やだ……。行かないで、一人にしないで……。
僕はベッドから離れようとしている小林の手首を掴んだ。
「あっ、ごめっ」
僕は慌てて、手を離すと引っ込めた。ネクタイを緩めて、小林は優しく微笑んでいる。僕はその笑顔を見るのが、苦しくて辛かった。
「日々の疲れが出た? 転職してからずっと寝不足が続いてたから……今夜は何もしないから。ゆっくり休んで、マヤ」
「小林……えっと」
こんな優しい小林に僕は、なんて裏切りをしてしまったのだろうか。
辛い……。苦しい。どうしたら……。
「ん?」
「ごめん……小林、僕は……ぼくは……」
話したい。でも言えない。言えないのに、言いたいんだ。
手首をさらに強く掴んで、僕は涙が零れた。布団の上に涙が落ちて濡らしてしまう。
「マヤ、わかってる。何も言わなくていいから」
「……え?」
「話したくないなら、言わなくていい。気づいてるから」
「こば、やし……僕は、小林を、裏切って……」
「裏切ってない。原因は俺だし、相手は逆らえないように脅していたんだ。マヤは俺が大好きなマヤのままだよ」
「小林……抱いて、ほしい。嫌でなければ……」
「いいの?」
「上書きしてほしいんだ」
「……わかった」
チュッと、小林が優しいキスをしてくれる。啄むようなキスを繰り返しながら、互いに着ている服を脱がし合う。二人で全裸になると、僕の上に小林がのってくる。首筋、鎖骨とゆっくりとキスが降りてくる。キスマークになるような強い吸い付きはなくて、軽くて優しい。胸にもキスを落とし、突起を丁寧に舐めてくれる。舌先で突いて、唇でちょっとだけ吸い上げる。
「もっと……強く、お願いっ」
「腫れてるから」
「いつもみたいに……」
「だんだんとね」
キスがまた下におりていき、僕の逸物に触れる。意識を持ち始めている熱が、小林のキスで目覚めていくように膨らんでいく。チュッと音をたてられながら、さらに下にキスが降りていく。足を限界まで開かされると、舌先で後ろの穴を舐められる。
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