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第16話

「マヤ……血の味がする」 「無理やり……だったから、切れた、と思う。かなり血で汚れてて」 「うん。裂けてる。腫れてるし……。今日は……やめておこう?」 「……え? してほしい。また裂けてもいいから」 「ここは薬を塗って大事にしよう。入れなくても、気持ちよくなれるから」 「小林……でも……」 「軟膏、取ってくるから」  ベットから一度、降りた小林が寝室から出ていった。  なんで、そんなに優しいの? どうして――?  僕にはもう……興味がない、から? もう抱きたくない? 他の男の手で触られた身体なんて要らない? 汚い?  僕は……捨てられる?  生暖かい涙がポロポロと落ちてきた。別れたくないのに……小林が好きのなのに。 「……えっ? マヤ……なんで泣いて?」  軟膏を持ってきた小林が驚いて、ベッドに駆け付けた。頬に手を当てると、目から零れる涙をキスしながら吸い上げた。 「こばやしぃ……」 「ん?」 「……嫌いにならないでえ。僕は小林が……好き、なんだ。別れたくない」 「嫌いになるわけないだろ! 別れたりしない。どうしてそんな不安に……」  僕は小林に抱き着くと胸に顔を埋めた。ぎゅっと強く抱きしめてくれる小林に、さらに涙が溢れた。 「今日は……しない、って」 「それは傷があるから。確かに最初は……俺も無理やりヤッてたけど。てか、無理やりこっち側に引き込んだけど。傷はつけたくない。大切にしたい。マヤのここは、丁寧に扱いたいんだ。だから……大事にさせて。俺、誰かにこんな気持ちになるは初めてなんだ」  チュッと小林が僕の額にキスを落とした。「軟膏塗るよ」と僕を優しくベットに倒すと、足を開いた。電気を一番明るい明るさにすると、薬を指につけて優しく後ろの口の回りを撫でまわした。 「あっ……あ、んぅ」  嬌声があがってしまう。  薬を塗ってもらってるだけなのに。まるで、いつもの愛撫みたいで気持ちが良くなってしまう。スーッと薬の成分が皮膚に浸透していくのがわかって、なんだが火照ってしまう。 「……小林っ……それ、あっ! んぁ……」 「気持ちいい?」 「ん、どうしよ……薬なのに」 「可愛い。俺のマヤは」  唇が近づいてきて、僕は瞼を閉じた。小林の甘いキスが僕の心を溶かしてくれる。スッと指が中に入る。内側も丁寧に薬を塗ってくれる。気持ちよくて腰が浮いてしまう。  キスを終えて離れようとする小林に、僕は下唇に噛みついた。ちゅっと吸い上げて、口の中に僕の舌を入れると、小林のキスが少し荒々しく舌先を絡めてきた。 「ん、んふ……んぁ」  互いの吐息が重なって、さらにキスを求め合った。夢中になって、噛みつき合う。小林の指が穴から抜けると、僕は身体を起こした。今度は小林を押し倒した。 「マヤ……? 駄目だって」 「擦るだけは?」 「……ったく。うっかり入ったらどうするんだよ」 「入ってもいい」 「だめ」 「でも……イキたいんだ、一緒に。小林のだって、パンパンじゃないか」 「絶対に入れない?」 「……ん、入れない」 「じゃあ、好きなように動いて」  入れたいのに……。痛くても……小林のを飲み込みたいのに。  僕は乱れた呼吸で、ゆっくりと穴の口に小林の根元にくっつけた。男根を後ろの口で飲み込まずに表面だけを擦りつける。入れてないのに、身体に快感が走る。

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